ゲヴァントハウス

ゲヴァントハウス

ゲヴァントハウス（ドイツ語: Gewandhaus）は、ドイツ東部、ザクセン州の主要都市ライプツィヒに位置する、長い歴史を持つ著名なコンサートホールです。その名称はドイツ語で「織物会館」を意味しており、これはホールの設立起源に関わる名称です。現在は、国際的に高い評価を受けるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の本拠地として機能しており、都市の音楽文化の中心を担っています。

このゲヴァントハウスは、その歴史の中で三度の建替えを経て、現在の姿に至っています。

初代ゲヴァントハウス

最初のゲヴァントハウスホールは、1781年11月に誕生しました。もともと「織物会館」というドイツ語名を冠するように、その起源は織物の倉庫や取引所として使われていた建物に遡ります。この商業施設の一部を改修してコンサートホールとしたものです。1781年に初めてコンサートホールとして開かれた際は、客席数わずか500席でした。木造で建物の2階や3階部分にあったため、音響条件は決して良いものではありませんでした。その後、1842年の改修によって客席数は1000席に増やされましたが、手狭になったことなどを理由に、オーケストラが新たなホールに移った後の1894年に取り壊され、現存していません。

2代目ゲヴァントハウス

初代ゲヴァントハウスが手狭になったことに伴い、新たなコンサートホールの建設が計画され、1884年12月に新ゲヴァントハウスとして落成しました。二代目も引き続き「ゲヴァントハウス」の名を冠しましたが、これは純粋に音楽を奏でるための専用施設として設計されました。建築家マルティン・グロピウスとハイノ・シュミーデンによって設計されたこのホールは、新古典主義建築様式を採用し、馬蹄型の客席配置を持つコンサートホールでした。大ホールは約1500席、小ホールは約500席を有していました。特筆すべきは、その優れた音響であり、後にアメリカ合衆国のボストン・シンフォニーホールの設計の参考にされたと言われています。しかし、第二次世界大戦中の1944年2月の空襲により甚大な被害を受け、その姿は廃墟と化しました。20年以上にわたり荒廃したまま残されていましたが、最終的に1968年に解体が決定されました。

現在のゲヴァントハウス（3代目）

三代目となる現在のゲヴァントハウスは、東ドイツ時代の1981年に、ライプツィヒ旧市街のアウグストゥス広場に新たに建設されました。現在の建物はコンクリート造りにガラスのファサードを持つ現代的な外観が特徴です。その設計には、建築家ルドルフ・スコダ氏と、当時の音楽監督であったクルト・マズア氏が深く関与しました。

内部に入ると、エントランスホワイエは4階まで吹き抜けになっており、開放的な空間が広がります。ロビーの天井には、画家ズィグハルト・ギレ氏による壮大な天井画「人生の賛歌」が描かれており、来場者を迎えます。

主要な空間である大ホールは、1920席を擁するヴィンヤード形式のホールです。ぶどう畑のように段々になった客席がステージを囲む独特の形状（六角形に近い）をしており、その優れた音響効果は国際的にも高い評価を受けています。この大ホールには、ポツダム・シュッケ社製の荘厳なパイプオルガンが設置されており、6638本のパイプを持つこの楽器は、東ドイツ時代に製作されたものとしては最大のパイプオルガンです。

また、小ホールは「メンデルスゾーン・ホール」と名付けられており、498席を備えています。現在のゲヴァントハウスは、音楽イベントの中心地として多くの人々を惹きつけ、2005年には累計来場者数が1000万人を突破しました。

歴代の建物がそれぞれの時代の特徴を持ちながら、音楽都市ライプツィヒの顔として重要な役割を果たしてきたゲヴァントハウスは、今もなお活発な音楽活動の拠点として世界にその名を知られています。

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