ゲーマガ

ゲーマガ：変遷を遂げた総合ゲーム誌の歴史

『ゲーマガ』は、かつてSBクリエイティブが発行していた月刊の総合ゲーム雑誌です。そのルーツは1984年12月に創刊された『Beep』に遡り、幾度かの誌名変更を経て『ゲーマガ』として2012年5月号で休刊するまで、長きにわたりゲーム業界の情報を発信し続けました。本稿では、その変遷を詳細に辿ります。

Beep：黎明期のゲーム情報誌

『Beep』は、日本ソフトバンクが1984年12月に創刊した月刊のゲーム総合情報誌です。当時、パソコンゲームが主流だった中で、家庭用ゲーム機に焦点を当てたことが特徴でした。毎月8日発売で、ゲーム雑誌としては初めてソノシートを付録にしたことでも知られています。

創刊当初は、ファミリーコンピュータなどの家庭用ゲーム機の情報が少なかった時代であり、『Beep』はこれらの情報を積極的に取り上げることで、他誌との差別化を図りました。しかし、ファミリーコンピュータの爆発的な普及とともに、攻略情報への規制が強化されるようになり、経営基盤が弱かった『Beep』は、常に休刊の危機と隣り合わせでした。そのような状況下で、当時の編集部はセガ・マークIIIに注目し、他誌が付随的にしか扱わないセガハードの情報を中心に掲載することで、活路を見出しました。これにより、『Beep』はセガからの情報提供を優遇されていると誤解されることもありましたが、実際にはセガとの間で情報提供や規制に関する駆け引きがありました。

誌面構成は、当時人気だった雑誌『POPEYE』を参考に、AB判の縦組みで、幅広いジャンルの記事を浅く広くカバーするという特徴がありました。ライターの個性や主張が色濃く反映された記事が多く、攻略記事もライター個人のプレイを基にしたものが多く掲載されていました。また、ゲームの欠陥に対して、スポンサー企業であっても批判的な記事を掲載する硬派な一面も持ち合わせていました。ライター陣には学生が多く、若さ溢れる誌面が特徴でしたが、同時にライターの質や記事構成力は課題として残りました。

連載企画

読者参加型企画「MEGA ORBIS」の後、漫画家の御厨さと美による「ヤタタウォーズ」が人気を博しました。これは、読者を東西二つの勢力に分け、葉書投稿による艦隊戦で覇権を争うという企画で、現代のオンラインゲームの先駆けとも言えるものでした。その他にも、早川浩の「RPG幻想辞典」、桃園隆夫の「パイナップル通信」、らくしょ・にしじまの「新版・明解ナム語辞典」など、個性的な連載企画が数多くありました。

独自の用語

『Beep』では、独自の用語が多く使われました。「テレホビー」は家庭用ゲーム機、「シューティン」はシューティングゲーム、「アルティマ」は『ウルティマ』を指すなど、独特な表現が誌面を彩りました。

BEEP!メガドライブ：メガドライブ専門誌へ

1989年5月、『Beep』はセガのメガドライブ専門誌『BEEP!メガドライブ』としてリニューアルしました。当初は季刊でしたが、後に月刊化され、当時人気だった『メガドライブFAN』と人気を二分しました。表紙には、抽象的なイラストや『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のキャラクターが採用され、読者による全タイトルの採点企画「BEメガ読者レース」や、年間を通して優れたゲームを表彰する「メガドラアカデミー賞」などの企画が人気を集めました。また、「バカゲー」という言葉の発祥の地としても知られています。

2019年には、メガドライブミニの発売に合わせて、ムック本『BEEP! メガドライブFAN -2誌合体！メガドライブミニ 総力特集号-』が発売されました。このムック本では、メガドライブミニに収録されたゲームの紹介や、当時両誌で掲載されていたコラムやコーナーの復活などが盛り込まれ、往年のファンを喜ばせました。

SEGA SATURN MAGAZINE：セガサターン専門誌へ

1994年11月、セガのセガサターン発売に合わせて、『BEEP!メガドライブ』は『SEGA SATURN MAGAZINE』として再リニューアルしました。セガサターン版『バーチャファイター2』の大ヒットもあり、一時は週刊化もされましたが、セガサターンの失速と共に、合併号が多くなりました。しかし、読者レースや最優秀賞の企画は引き継がれ、『デスクリムゾン』に関する様々なエピソードが掲載されるなど、その独自性は健在でした。

Dreamcast Magazineとドリマガ：ドリームキャストの終焉と総合誌への転換

1998年11月、セガ最後のオリジナルゲーム機となったドリームキャストの発売に合わせて、『Dreamcast Magazine』へと誌名変更されました。しかし、週刊と銘打っていたものの、合併号が多い状況は変わらず、2001年2月にはセガが家庭用ゲーム機開発から撤退を発表しました。しかし、雑誌は休刊には至らず、同年5月には誌名を『ドリマガ』と改め、ドリームキャスト専門誌から総合ゲーム雑誌へと転換しました。2004年には通巻400号を迎え、月刊誌として再出発しました。

ゲーマガ：総合ゲーム誌としての終焉

2006年5月、誌名を『ゲーマガ』に変更し、製本も平綴じに変更しました。美少女ゲーム情報も扱うようになり、『アイドルマスター』の記事が充実するなど、時代の変化に合わせた誌面構成となりました。しかし、2012年3月、創刊から28年の歴史に幕を閉じました。

ラジオ番組への展開

『ゲーマガ』は、ラジオ大阪のラジオ番組『THE IDOLM@STER RADIO』のスポンサーとして参加し、番組内にコラボレーションコーナーを設けていました。これは、雑誌という枠を超えて、ゲームメディアが様々な形で展開する先駆けとなりました。

『ゲーマガ』は、その長い歴史の中で、常にゲーム業界の動向を捉え、独自の視点で情報を発信し続けてきました。その変遷は、ゲーム業界の歴史そのものであり、多くのゲームファンにとって忘れられない存在です。

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