コアシダカグモ

コアシダカグモ（Sinopoda forcipata）

コアシダカグモはアシダカグモ科に属するクモの一種であり、屋外で見ることができる大型のクモです。一般的に見られるアシダカグモ（Heteropoda venatoria）に似ていますが、異なる属に分類されており、主に森林での生活を好みます。

概説

日本で広く見られる無印アシダカグモは、特に屋内で生息することで知られる一方、コアシダカグモは主に外部環境に住んでいます。体格は無印と比較してやや小柄ですが、見た目は似通っており、見間違えることもあります。無印は外来種であるのに対し、コアシダカグモは日本の在来種と考えられています。この種は、かつては無印と同じ属に属しているとみなされていましたが、近年の研究により新しい属への移行が確認されました。

特徴

コアシダカグモは、雌が20～25mm、雄が16～20mmとサイズが大きく、身体は褐色で背甲には細い黄色の帯状斑が見受けられます。眼は8つあり、その配置は特徴的で、前列の眼は互いに接近しているのが特徴です。腹部には前後に明瞭な黄色の斑紋があり、黒い斑紋も存在します。

分布と生息環境

本種は日本の本州、四国、九州に広がって生息しており、国外では中国での報告もあります。生息環境としては、森林や里山、さらには市街地の緑地にも見られ、基本的には暗い場所を好む傾向があります。時には洞窟内や本州の東北地方の家屋内でも確認されることがあります。

生態

夜行性であり、日中は物陰や落ち葉の下に潜んでいます。夜になると、地表や樹幹を這い回り、静止して獲物を待ち伏せする捕食者としての行動を取ります。幼生と成体は通年見られ、越冬も行います。産卵は6月から8月にかけて行われ、卵は樹幹や岩に貼り付けられ、親がその周りを守ります。

アシダカグモとの比較

コアシダカグモと混同されやすいのはアシダカグモですが、両者は生息環境や生殖器の構造などに明確な違いがあります。無印が屋内性であるのに対し、コアシダカグモは主に屋外に生息するため、見つける場所によって簡単に分けることができます。また、形態的には体長が短い、毛が少ない、斑紋の有無などの違いがあります。

分類と近似種

かつてはアシダカグモと同属と考えられていましたが、1999年にコアシダカグモ属（Sinopoda）が新設され、現在の学名が使用されています。日本国内にはコアシダカグモを含めて8種が存在し、地域による分化も報告されています。類似の種に関しては、正確な分類には生殖器の詳細な調査が必要です。

これらの情報は、コアシダカグモが生息している環境や特性を理解するための重要な手がかりとなります。

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