コウサル

コウサル (Kowsar)

コウサルとは、イランが開発した戦闘機であり、アメリカのF-5をベースにした機体です。この機体は最新技術のアビオニクスや火器管制システムを搭載しており、イランの自主開発に基づいた重要な軍事資産となっています。

開発

コウサルの誕生は2018年8月21日に報じられ、イランの国営テレビによって初めて公表されました。この発表からわずか数日後に、初飛行を行ったとされています。同年11月3日には、イラン航空機製造業会社での組立ライン発足式が行われ、少なくとも7機の生産が確認されています。この期間中、イランのハサン・ロウハーニー大統領は防衛産業の日イベントに出席し、コウサルの視察を行いました。

イランメディアの報道によれば、コウサルはF-5を基に設計されているものの、イスラム国家が初めて国内で一から製造した戦闘機として自賛されています。設計段階での目的は、国際的な制裁を受ける中での自主防衛能力の強化にあり、イランが直面する厳しい経済・政治状況に対応するための結果とみられています。

設計

コウサルの設計は、同じくF-5を基にした戦闘機であるサーエゲやアザラフシュに似ており、そのフレームをベースにしています。イラン国営メディアは、この機体に「高度なアビオニクス」や「多目的レーダー」が搭載されていることを報じており、完全に国産であると強調しています。

機体は、デジタルデータネットワーク、グラスコクピット、ヘッドアップディスプレイ（HUD）などの最新技術を取り入れており、弾道計算機やスマートモービルマッピングシステムも搭載されています。レーダーには、同時に2機を捕捉できるイタリア製の「グリフォ」が使用されている可能性があります。また、搭載エンジン名は「J90」で、ゼネラル・エレクトリックのJ85エンジンのリバースエンジニアリングによって開発されたと考えられています。

運用履歴

2020年6月25日、イラン国防軍需省はエスファハーンにてコウサルの3機がイラン空軍に納入されたことを発表しました。この際、撮影された画像には非戦闘塗装の機体が映っており、これが運用の第一歩であることを示しています。

派生型

コウサルは、単座型と複座型の両方が生産されています。これにより、様々なミッションに対応可能な柔軟性が求められています。

輸出

2018年11月26日、イラン航空産業機構の高官は、コウサルの輸出準備が整っていると発表し、ロシア、中国、インドネシアなどと合意が交わされたことを明らかにしましたが、具体的な合意内容については詳細が明かされていません。

反応

このコウサルの発表に対して、イスラエルの国防相は「イラン経済の危機に対する反応」とし、イラン人がアメリカの制裁による圧力を感じていることが背景にあるとの見解を示しました。また、欧米のアナリストの中には、コウサルが兵器としては機能しないが、新世代のパイロット訓練には寄与する可能性があるとの意見もあります。アレックス・ロッキーは、「大きなジョークのように見える」としながらも、その訓練機や軽攻撃機としての潜在力を評価する声もあります。

性能

コウサルの主な諸元は以下の通りです:

• - 乗員: 2名
• - 全長: 14.45 m
• - 全高: 4.08 m
• - 翼幅: 16.26 m
• - 翼面積: 17.28 m²
• - 空虚重量: 4,349 kg
• - 最大離陸重量: 9,312 kg

この機体は、GE J85をイランでリバースエンジニアリングしたOwjターボジェットエンジンを搭載しており、最大速度は1,700 km/h、航続距離は1,100 km、実用上昇限度は15,800 mという性能を持っています。

結論

コウサルは、イランにおける航空技術の発展を象徴する戦闘機であり、国際的な制裁による制限の中で自主開発された成果といえます。その技術力や運用に興味を持つ人々にとって、これからの動向は注目されるでしょう。

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