コクバラ語

コクバラ語（Kók Borok）

コクバラ語は、アジアに広く分布するシナ・チベット語族に属する言語の一つです。この言語は、主にインド北東部のトリプラ州や、それに隣接するバングラデシュ北部の地域に暮らすトリプリ族によって話されています。

言語名である「Kók Borok」は、トリプリ語で「ことば」を意味する「kók」と、「人々」を意味する「borok」という二つの語から成り立っています。このため、その名称は「人間のことば」という意味合いを持っています。

言語分類

コクバラ語の言語学的な分類については、様々な説がありますが、一般的にはシナ・チベット語族のボド諸語（あるいはボロ・ガロ諸語）に位置づけられています。エスノローグなどの分類体系では、ボド諸語の下位グループとして扱われており、このグループには、多数の話者を持つボド語（約133万人）、ディマサ語（約11.2万人）、カチャリ語（約5.9万人）などがあり、コクバラ語（トリプラ語としても知られ、約77.8万人の話者がいるとされます）もその重要な一員です。この他、リァン語（約7.7万人）、ティペラ語（約8.5万人）、ティワ語（約2.7万人）、ウスイ語（約2.2万人）なども同じグループに含まれることがあります。

別の分類では、ボロ・ガロ諸語の下に、ラバ語、コチ語、ルガ語、アトン語、ガロ語、ボロ語、ティワ語、ディマーサ語、モラン語などと共にトリプラ語（コクボロック語）が位置づけられることもあります。

話者と地域

コクバラ語の話者の大多数はトリプリ族であり、彼らの主要な居住地はインドのトリプラ州です。また、地理的に近いバングラデシュの北部地域にも話者が存在します。話者数は地域によって異なりますが、トリプラ州においては数十万人規模の人々が日常的に使用しています。

公用語としての地位

コクバラ語は、インドのトリプラ州において、ベンガル語と並んで公用語の一つとしての地位が認められています。これは、州内の多くの住民にとって重要な言語であることを反映しており、行政、教育、メディアなどで使用されています。

別称と方言

コクバラ語は、地域や資料によっていくつかの別称で呼ばれることがあります。代表的なものとしては、トリプラ語、コクボロック語、コクボロク語、コク・ボロック語などがあり、また、話者集団や地域名に由来するDebbarma, Kakbarak, Kokbarak, Mrung, Tipura, Tripura, Tripuri, Usipi Mrung, Usipiといった呼称も用いられることがあります。

また、地域や集団によって方言差が存在するとされており、北部方言、南部方言といった区分や、ウスイ語、リァン語、デウリ語などが方言あるいは近縁の言語として挙げられることもあります。

まとめ

コクバラ語は、トリプリ族のアイデンティティと文化を支える重要な言語であり、インドのトリプラ州においては公用語としての役割も担っています。その分類や方言については様々な議論がありますが、シナ・チベット語族の一員として、地域の言語多様性の一端を担っています。

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