コゴメグサ属

コゴメグサ属について

コゴメグサ属（学名：Euphrasia）は、ハマウツボ科に属する植物であり、一般には小米草属として知られています。この属には約200種があり、主に温帯から寒帯にかけて広く分布しています。特に日本には、コゴメグサ属の植物が約10種存在しており、それぞれの環境に応じたユニークな特性を持っています。

形態的特徴

コゴメグサ属の植物は、一般的に一年草または多年草であり、主に草原や高山帯に自生しています。その特徴としては、ごく小型の草本であり、茎は直立または軽く分枝します。一年草の場合、茎は3cmから13cmほどの高さに成長し、分枝が若干あるものと完全に直立するものが見られます。また、多年草では根本で分枝して株を形成し、枝は斜上に広がります。

葉は対生し、形状は狭披針形から広卵形まで様々で、非常に小さく、ほとんど葉柄がありません。葉の縁には鋸歯が見られることがあり、一般的に2対から6対が確認されます。花は茎の上部に集まり、花柄がない点もコゴメグサ属の特徴です。

花の構造

コゴメグサ属の花は、萼が鐘形または筒形で4裂しています。花冠は唇形で、上唇が2裂、下唇が3裂しており、特に下唇の先端が3裂して特徴的な形をしています。この花の構造により、多くの昆虫が受粉しやすい形となっており、生態系に重要な役割を果たしています。雄蕊は通常4本あり、雌蕊は2室の子房を持っています。果実は蒴果で、倒卵形や楕円形をしており、その中に数多くの種子が含まれています。

主な分布

コゴメグサ属は、日本国内だけでなく、アジアや欧州の混交林などで広く観察されます。本州から四国、九州までの各地に自生し、特に高山や寒冷地において特有の種が見られます。例としては、ハチジョウコゴメグサやミヤマコゴメグサなどがあり、それぞれ異なる環境に適応して進化してきました。また、絶滅危惧種も多いため、保護活動が重要視されています。

日本の種

1. ハチジョウコゴメグサ (Euphrasia hachijoensis)

この一年草は、高さ3cmから13cmになり、伊豆諸島の八丈島や御蔵島に生育します。絶滅危惧II類に分類されています。

2. ミヤマコゴメグサ (Euphrasia insignis)

本州の高山植物で、特に北アルプスに多く分布しており、1年草で数種類に分類されています。特にsubsp. insignisとsubsp. iinumaeに分かれ、 latterは特に草姿が壮大でしっかりとした形状を持っています。

3. キュウシュウコゴメグサ (Euphrasia insignis var. kiusiana)

九州北西部や本州の中国地方に見られ、葉が狭い卵形をして特徴的です。また、花の構造も他の種とは違いがあります。

名前の由来

コゴメグサという名は、白い小さな花が米粒のように見えることに由来しています。属名の「Euphrasia」は、ギリシャ語で「陽気」を意味し、視力を改善する効果があるとされたことから付けられました。

参考文献

• - 佐竹義輔他著『日本の野生植物 草本III合弁花類』
• - 豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』
• - 環境省「日本のレッドデータ検索システム」

このように、コゴメグサ属は独特の生態的役割を持ち、自然環境の中で重要な位置を占めています。

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