コシュレルの戦い

コシュレルの戦い

コシュレルの戦い（1364年5月16日）は、フランス・ノルマンディー地方のウルベック＝コシュレル近郊で行われた、フランス王国軍とナバラ王国軍の間の重要な戦闘です。この戦いは、ナバラ王カルロス2世がフランス王ジャン2世とブルゴーニュ公の継承権をめぐって対立し、加えて百年戦争下でイングランドと手を結んで行った侵攻が引き金となりました。

戦争の背景

ナバラ王国はフランスとスペインの国境に位置する小国で、長い間フランス王族と密接な関係を築いてきました。カルロス2世はフランス王ルイ10世の娘フアナ2世との間に生まれたため、フランスの血統を持っていました。彼はフランス内での権威拡大を企図し、1354年にはフランス王の指導者によって行われた暗殺が発覚し、フランス王との関係が悪化するなど、複雑な状況にありました。

1361年にブルゴーニュ公が死去した後、カルロス2世はその継承権を主張しましたが、ジャン2世により拒否され、彼は逆に公位を狙って進攻を計画しました。この計画には、エドワード黒太子の紹介を受けた名将ジャン3世・ド・グライーの力を借り、ノルマンディーへの侵攻を依託しました。

フランス側としては、王シャルル5世がブルターニュの戦争で名を馳せた武将ベルトラン・デュ・ゲクランを指揮官として派遣しました。彼は馬上槍試合で名を馳せており、戦闘能力に優れた指導者として知られていました。

戦力の構成

戦闘が行われる際、フランス王国軍はブルゴーニュや他の地域から集まった騎士たちにより構成され、その指揮は主にデュ・ゲクランが担いました。一方のナバラ軍は、主に800～900人の騎士と、約4,000～5,000人の兵士を抱えていました。特にイングランドから派遣された300人の長弓兵が梁を支える存在として、戦闘での活躍が期待されました。

ナバラ軍の中でも特に強力な部隊は、イングランド出身の装甲兵士と長弓兵からなる部隊で、騎士ジョン・ジュエルの指揮下にありました。彼らは過去の戦闘で数多くの成功を収めてきたため、大きな脅威を持っていました。

戦いの経過

戦闘はナバラ軍が丁寧に構築した防御陣形で始まりましたが、フランス側はまず前触れとなる攻撃を仕掛けてナバラ軍を挑発しました。デュ・ゲクランは自軍に後退を命じ、これがナバラ軍へ誘引の罠となります。丘の上から駆け下りたナバラ軍は、ゲクランが待ち構えていた伏兵によって側面を突かれ、瞬く間に壊滅しました。

この戦闘によって、グライーは捕虜となる運命に直面し、ナバラ軍は大敗を喫しました。

戦後の影響

コシュレルの戦いの結果、カルロス2世はブルゴーニュ公位を求める意欲を失い、彼の勢力は大きな打撃を受けました。これにより、フランス軍のデュ・ゲクランは大いに名声を高めることになりました。戦後、彼はエドワード黒太子に付き従い、スペインで発生した戦争に参戦し、再度の戦闘で名声を獲得していきます。

この戦いは、百年戦争の中でも特に顕著な事件の一つとして記録に残されており、フランスとナバラ間の力関係が変わるきっかけを作りました。

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