コスモス954号

コスモス954号の概要

コスモス954号（露: Космос-954）は、1977年9月18日にソビエト連邦によって打ち上げられたレーダー海洋偵察衛星です。この衛星は、原子炉を動力源としており、その燃料にはウラン235が使用されていました。しかし、その運命は悲惨な結果をもたらすことになりました。

墜落事故

運用が終了した後、コスモス954号は原子炉の分離に失敗し、そのために安定した高高度軌道への移動も果たせず、大気圏に突入しました。1978年1月24日11時53分、衛星はカナダ西海岸のクィーン・シャーロット島北部に進入し、北西部の無人地帯に墜落したのです。この事態は、世界中のメディアでも取り上げられ、大きな関心を集めました。

特に、当時のアメリカ大統領ジミー・カーターは早くからソビエト側に懸念を伝え、対策についての会議が行われました。落下先が不明な状況は多くの不安を引き起こし、人への被害は免れたものの、原子炉を搭載した衛星が分解して墜落したため、放射性物質を含む破片が広範囲に散乱しました。具体的には、ヌナヴト準州を含む北西準州やアルバータ州、サスカチュワン州にわたって、グレートスレーブ湖の東端からベイカー湖にかけておよそ600kmの範囲に放射性物質が飛び散ったのです。

除染作業

このような状況の中で、放射性物質の除去作業が実施されました。この作業は「朝の光作戦（Operation Morning Light）」と名付けられ、アメリカとカナダの合同チームによって進められました。作業は氷が融ける4月まで行われ、その後10月15日まで延長され、合計で12万4千km²の広大な範囲が除染対象となりました。

除染作業の結果、12個の大きな破片が回収され、その中の10個には放射性物質が含まれていました。中には1時間当たり最大1.1シーベルトもの放射線を放つものも存在していましたが、回収できた核燃料は全体の約1%にとどまっていました。

この事故により、カナダ政府は被害額を1400万カナダドルと評価し、ソビエト連邦に対して604万1174ドル70セントの賠償を求めることになりました。1981年には、ソ連が300万ドルの支払いに同意するという形で、この問題は解決へ向かいました。

結論

コスモス954号の事故は、宇宙開発におけるリスクを浮き彫りにし、今後の宇宙の利用に関する様々な議論と教訓を呼び起こしました。この事故はまた、国際的な宇宙法や事故に対する責任の重要性を再認識させるものとなりました。

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