シーベルト

シーベルト：放射線の生物学的影響を表す単位

シーベルト(Sv)は、[放射線]]被ばくによる生体の影響の大きさを表す単位です。国際単位系]の組立単位の一つであり、ジュール毎[キログラム]と定義されています。しかし、Svは単位が大きいため、[[ミリシーベルト(mSv)やマイクロシーベルト(μSv)がよく用いられます。

シーベルトとグレイ、線量当量の関係

放射線が物質に吸収されるエネルギーの大きさを表す単位はグレイ(Gy)で、これもJ/kgと定義されます。しかし、同じ吸収線量でも放射線の種類や人体への影響は異なります。そこで、吸収線量に放射線の種類や組織に対する影響を考慮した係数（線質係数）を乗じて算出されたものが線量当量であり、その単位がシーベルトです。

簡単に言うと、

`Sv = 線質係数 × Gy`

となります。線質係数は、放射線の種類によって異なり、例えばX線やガンマ線は1、アルファ線は20と、放射線の種類によって異なります。

シーベルトの様々な単位と換算

シーベルトは、ミリシーベルト(mSv)やマイクロシーベルト(μSv)といった単位も使用されます。

1 Sv = 1000 mSv
1 Sv = 1000000 μSv

以前はレム(rem)という単位も使用されていましたが、SI単位系の一貫性がないため、現在はシーベルトが使用されています。レムとシーベルトの換算は以下の通りです。

1 rem = 0.01 Sv

線量当量率：被ばくの強さを表す

単位時間あたりの線量当量を線量当量率といい、シーベルト毎[秒]、シーベルト毎[分]、シーベルト毎時(Sv/h)などが用いられます。シーベルトが被ばくの総量を表すのに対し、線量当量率は被ばくの強さを示します。

例えば、

25 μSv/hの被ばくを2時間受けると、総被ばく量は50 μSvとなります。
* 400 mSv/hの被ばくを15分受けると、総被ばく量は100 mSvとなります。

日常生活と放射線被ばく

自然界には放射線が存在し、私たちは常に自然放射線にさらされています。年間の自然放射線被ばく量は、地域によって異なりますが、平均すると約2.4 mSv程度と言われています。

医療行為における放射線被ばくの例としては、胃のX線撮影で0.5～4 mSv、CTスキャンで7～20 mSv程度です。

高線量被ばくの影響

高線量の放射線被ばくは、健康に深刻な影響を与えます。例えば、全身に2 Svの放射線を浴びると、約5%の人が死亡し、4 Svでは50%、7 Svでは99%の人が死亡するとされています。0.2 Sv以下の被ばくでは、急性症状は認められないとされていますが、長期的な影響については研究が継続されています。

シーベルトの適用範囲と注意点

シーベルトは、低線量率被ばく環境における人体への影響を評価する際に用いられます。高線量率被ばくの場合、線量率効果（被ばくの強さによって影響が変わる効果）により、シーベルトの加算性が成り立たないため、グレイが用いられる場合があります。また、シーベルトはグレイに係数を乗じて得られる値であるため、グレイと同等の厳密さを持つとは限りません。

まとめ

シーベルトは、放射線被ばくの健康への影響を評価する上で重要な単位です。医療現場や原子力施設などでは、放射線管理に欠かせないものとなっています。しかし、その適用範囲や注意点などを理解した上で適切に使用することが重要です。

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