コダダド・アジジ

コダダド・アジジは、1971年6月22日にイランで生まれた元プロサッカー選手であり、引退後は指導者としても活動しています。現役時代のポジションはフォワードで、イラン代表としても長らく活躍しました。

クラブキャリア

アジジは、1988年に故郷のクラブであるFCアブーモスレムでキャリアをスタートさせ、その後、ファトフ・テヘラン、バフマンFC、ペルセポリスFCといったイラン国内のクラブでプレーしました。1997年にはドイツの1.FCケルンに移籍し、アリ・ダエイ、カリム・バゲリと共に、ブンデスリーガで活躍した最初のイラン人選手の一人となりました。ケルンで3シーズン過ごした後、アメリカMLSのサンノゼ・アースクエイクスに移籍。その後も、アル・ナスルSC（UAE）、パス・テヘラン（イラン）、FCアドミラ・ヴァッカー・メードリング（オーストリア）、オガーブFC、ラーフ・アーハンFC（いずれもイラン）など、複数のクラブを渡り歩き、2006年に現役を引退しました。

イラン代表での活躍

アジジは、イラン代表のフォワード、ミッドフィルダーとして長年にわたり活躍し、国際Aマッチ47試合に出場、11ゴールを記録しました。身長169cmと小柄ながら、70kgのガッチリとした体格を生かしたパワフルなドリブルが持ち味で、アリ・ダエイとのコンビは強力な攻撃力を誇りました。1996年のAFCアジアカップでは、チームの3位入賞に貢献し、大会MVPとアジア年間最優秀選手賞をダブル受賞しました。また、1998年W杯予選では、オーストラリア代表との大陸間プレーオフで2得点1アシストと、チームの全得点に絡み、本大会出場に大きく貢献。本大会でもグループリーグ全3試合に出場しました。1999年以降は、サッカー協会との関係悪化により代表に招集されない時期もありましたが、AFCアジアカップ2000、2006年W杯アジア予選にも出場しました。

指導者としてのキャリア

引退後は、古巣であるFCアブーモスレムのテクニカル・ディレクターに就任。2006年12月には同クラブの監督に就任し、2007年10月まで指揮を執りました。その後、2008年にパヤーム・マシュハドの監督に就任するも半年で退任。2009年にはエステグラル・アフヴァーズの監督に就任しましたが、わずか3ヶ月で解任されています。

「車椅子事件」

アジジの名前が広く知られるようになったのは、1997年11月に行われたフランスW杯アジア地区第3代表決定戦、日本対イラン戦での出来事がきっかけです。試合前日、アジジは日本の報道陣の前に車椅子姿で現れましたが、翌日の試合には何事もなかったかのようにスターティングメンバーとして出場。後半開始わずか25秒で同点ゴールを決めました。この一件は、イラン側が情報戦を仕掛けたものと認識されており、現在に至るまで語り草となっています。当時、日本代表を率いていた岡田武史監督は、この情報戦を見抜いていたとされています。この一件から、サッカーにおける情報戦、駆け引き（主力温存、当て馬作戦など）を「アジジ」「アジジ作戦」と呼ぶようになりました。しかし、当時のイラン代表監督ヴァルデイル・ヴィエイラは、アジジが前日練習を欠席した理由は、チームメイトとの喧嘩が原因であり、イランサッカー協会がアジジを強制送還させようとした内紛を隠すためであったと証言しています。

所属クラブ

FCアブーモスレム (1988-1992)
ファトフ・テヘラン (1992-1994)
バフマンFC (1994-1997)
ペルセポリスFC (1997)
1.FCケルン (1997-2000)
サンノゼ・アースクエイクス (2000)
アル・ナスルSC (2001)
パス・テヘラン (2001-2005)
FCアドミラ・ヴァッカー・メードリング (2005)
オガーブFC (2005-2006)
ラーフ・アーハンFC (2006)

代表歴

イラン代表: 46試合出場 11得点 (1992-2004)

指導歴

FCアブ・モスレム (2006-2007)
パヤーム・マシュハド (2008)
* エステグラル・アフヴァーズ (2009)

コダダド・アジジは、選手として、指導者として、そして、情報戦の象徴として、サッカー界にその名を刻んだ人物です。

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