マシュハド

マシュハドは、イラン北東部に位置するラザヴィー・ホラーサーン州の州都であり、シーア派イスラム教徒にとって重要な聖地の一つです。首都テヘランから東へ約850kmに位置し、2016年時点で約300万人の人口を抱え、イランで2番目に大きな都市です。マシュハドという名前は、「リダーの殉教地」を意味する「マシュハデ・レザー」に由来します。この地は、かつてサナーバードという小さな村でしたが、823年シーア派の第8代イマームであるアリー・アッ=リダーが暗殺された場所として知られるようになり、聖地として発展しました。

歴史


マシュハドの歴史は、9世紀初頭のアリー・アッ=リダーの死に遡ります。彼の死後、この地にモスクが建設され、周辺に街が形成されました。ガズナ朝時代には、スルタン・マフムードによって墓廟が建立され、その後、アフシャール朝ナーディル・シャー時代には首都として繁栄しました。ナーディル・シャーは聖廟を援助し、その重要性を高めました。ガージャール朝時代以降は、ホラーサーン地方の中心都市として発展し、様々な歴史的事件の舞台となりました。1912年には、イマーム・レザー廟がロシア帝国軍によって爆破され、世界中のシーア派ムスリムの怒りを買いました。

イラン革命前には、反体制デモが発生し、イラン革命後も経済不況や体制への不満から市民によるデモが発生しました。2016年には、マシュハド近郊に太陽熱発電所を建設する計画が発表されました。

宗教


マシュハドは、シーア派聖地として知られていますが、かつては宗教的少数派も多く住んでいました。19世紀にはユダヤ人が強制的に改宗させられ、表面上はイスラム教徒として生活しながらも、実際にはユダヤ教の伝統を守り続けていました。近代ではバハイ教の布教が盛んでしたが、同時に迫害も多く、バハイ教徒が処刑された事例もあります。

シーア派の巡礼地


マシュハドは、シーア派ムスリムにとって重要な巡礼地であり、「富者はメッカへ、貧者はマシュハドへ」ということわざがあるほどです。メッカ巡礼を終えた者が、次にマシュハド巡礼を行うことも珍しくありません。年間約2000万人のムスリムが巡礼に訪れます。

地理と気候


マシュハドは、ビーナールード山脈とヘザール・マスジェド山脈に挟まれた場所に位置し、キャシャフ川の流域に形成された都市です。気候は山岳性のステップ気候で、夏は暑く乾燥し、冬は非常に寒く、降雪も見られます。年間降水量は少なく、冬から春にかけて集中します。

交通


マシュハド国際空港は、イラン国内の各都市や近隣諸国へのフライトを提供しています。また、マシュハドには3つの主要な鉄道路線が接続しており、テヘラン方面、ヤズド方面、サラフス方面へ行くことができます。市内には地下鉄も整備されています。

人口


2006年時点で、マシュハドの人口は約243万人に達し、イランで2番目に人口が多い都市となっています。住民は主にペルシア人ですが、年間2000万人近い巡礼者も訪れます。

文化


マシュハドは、宗教教育の中心地であり、同時に芸術・科学の中心地でもあります。ペルシア語詩人のフェルドウスィーの名を冠したマシュハド・フェルドゥスィー大学をはじめ、多くの教育機関があります。また、6世紀以上の歴史を持つアースターネイェ・クドゥス・ラザヴィー中央図書館には、約600万の歴史的文書が所蔵されています。マシュハド近郊のカーシュマル絨毯は、伝統的なペルシア絨毯として有名です。

高等教育機関


マシュハドには、マシュハド・フェルドゥスィー大学、マシュハド医科大学、イスラーム自由大学マシュハド、ホラーサーン応用科学大学、イマーム・レザー大学、サドジャード大学などの高等教育機関があります。

姉妹都市


マシュハドは、スペインサンティアゴ・デ・コンポステーラパキスタンラホールイタリアヴェローナアメリカ合衆国シアトルクロアチアのプーラ、韓国の釜山と姉妹都市提携を結んでいます。

名所・観光地


マシュハドには、イマーム・リダー廟をはじめとする多くの巡礼地があり、年間1200万人以上の観光客が訪れます。ナーディル・シャー廟やクーフ・サンギー公園も人気の観光スポットです。郊外には、イマーム・リダーの弟子たちの廟や、大詩人フェルドウスィー廟などがあります。

マシュハド出身の有名人


マシュハド出身の有名人には、詩人のメフディー・アフヴァーン・サーレス、学者のアリー・シャリーアティー、サッカー選手のコダダド・アジジ、イラン・イスラーム共和国最高指導者のアーヤトッラー・アリー・ハーメネイーなどがいます。

事件


1994年にはイマーム・リダー廟で爆破事件が発生し、多数の死傷者が出ました。また、2001年には「クモ連続殺人事件」が発生し、社会的な注目を集めました。2005年には、同性愛行為による少年への死刑判決が、国内外で批判されました。


脚注


注釈
出典

関連項目


ホラーサーンホラーサーン地方、ラザヴィー・ホラーサーン州、アースターネ・クドゥス・ラザヴィー国立図書館、シャハーダ(語根が共通する)

外部リンク


マシュハド市公式サイト

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