コチニールカイガラムシ

コチニールカイガラムシ

コチニールカイガラムシ（学名：Dactylopius coccus Costa）は、コチニールカイガラムシ科に属する昆虫の一種です。別名「エンジムシ」とも呼ばれます。原産地はアメリカ大陸、特にメキシコとされています。

特徴

成虫のメスは約3mmほどの大きさで、翅を持たない褐色の貝殻のような外見をしています。ウチワサボテン属のサボテンに寄生し、枝に固着して生活します。一方、オスはメスの約半分の大きさで翅を持ち、活発に動き回ります。

注意点
「エンジムシ（臙脂虫）」という名前で、コチニールカイガラムシとラックカイガラムシ（東南アジア原産）が混同されることがあるため、区別が必要です。

利用

コチニールカイガラムシは、主にメスの虫体が染料として利用されます。古代マヤ、アステカ、インカ帝国などの時代から養殖され、染色の原料として用いられてきました。かつては野生のサボテンに寄生しているものを、箒や刷毛などで払い落として採取していましたが、雨期に収穫量が減少するため、現在では人工的に飼育されています。

コチニールカイガラムシの虫体には色素成分が豊富に含まれており、色素原料として利用されるカイガラムシの中では最も利用されています。主な産地はメキシコ、ペルー、南スペイン、カナリア諸島などで、染色用色素の他、食品着色料や化粧品など、幅広い用途で利用されています。

参考文献

角山幸洋「コチニールの飼養」（PDF）『関西大学東西学術研究所紀要』第23巻、関西大学東西学術研究所、1990年3月31日
沓名弘美、沓名貴彦「臙脂の再現にむけて」（PDF）『オレオサイエンス』第18巻第10号、日本油化学会、2018年
竹田晋也「熱帯アジアモンスーン林でのラック作りとその利用」（PDF）『FAB（同大学紀要）』第1巻、国際ファッション専門職大学、2021年3月31日

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、Dactylopius coccus (カテゴリ)に関するメディアがあります。
* ウィキスピーシーズには、コチニールカイガラムシに関する情報があります。

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