刷毛

刷毛（はけ）とは

刷毛（はけ）は、木やプラスチックなどの柄の先に、多数の毛を取り付けた道具です。漢字では「刷子」とも書きます（ただし、「刷子」は「ブラシ」とも読まれることがあります）。

概要

刷毛は、主に液状のものを塗布したり、細かな塵や埃を払ったりする際に用いられます。一般的な形状としては、毛を二枚の木片で挟んだものが多いですが、筆のような形状のものも存在します。

毛の素材としては、豚、山羊、馬などの獣毛がよく用いられます。近年では、溶剤による環境問題への対策として、塗料の水性化が進んでおり、合成樹脂製の刷毛も増加傾向にあります。また、竹製の竹刷毛も存在します。

種類

刷毛は、大きく和刷毛と洋刷毛に分類できます。

和刷毛

和刷毛は、中国から伝来し、日本で独自に改良されたものです。伝統的に日本画に用いられる絵刷毛、糊を塗るための糊刷毛、張物刷毛、漆刷毛などが和刷毛に該当します。

絵刷毛: 日本画で使用される絵刷毛は、主に羊毛で作られており、幅は5分幅から6寸幅まで様々な種類があります。
礬水刷毛: 礬水（どうさ）引きを行う際に使用されます。
金泥刷毛: 金泥や銀泥などを均一に塗布するために用いられる刷毛です。
唐刷毛: 絵具をぼかす際などに、乾いた状態で使用します。

洋刷毛

洋刷毛は、主に油性塗料（ペンキ）を塗るために西洋で使用されてきた刷毛で、日本には江戸時代末期に伝来しました。

用途による分類

刷毛は、用途に合わせて多種多様なものが存在し、その種類は約1,200～1,300種類にも及ぶと言われています。例えば、陶芸で使用される釉はがし刷毛、表具や製本の際に糊を塗るための糊刷毛、紙製品の貼り付け時に空気を取り除くための撫で刷毛などがあります。

塗装用の刷毛

約1,200～1,300種類ある刷毛のうち、約1,000種類は塗装用として使用されています。

ニス刷毛: ニスを塗る際に使用します。
目地刷毛: 目地部分を塗る際に使用します。
ダメ込み刷毛: 細かい部分を塗り込む際に使用します。
スミ切り刷毛: 角や隅を塗る際に使用します。

塗装用以外の刷毛

刷毛は、塗装以外にも様々な用途で利用されています。

清掃用具: 塵や埃を取り除くための道具として用いられます。掃除刷毛やダスターとも呼ばれます。
調理器具: お好み焼きやたこ焼きなどの調理の際に、タレや醤油などを塗る器具として用いられます。タレ刷毛と呼ばれます。

産地

かつては大阪が刷毛の主な産地でしたが、大正時代に山崎政三郎が愛知県海部郡甚目寺町（現在のあま市）に刷毛生産を持ち帰り、1970年からは日本一の生産量を誇っています。

関連項目

筆、絵筆、ブラシ
塗装、塗料

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