コヌカグサ

コヌカグサ (Agrostis gigantea)

コヌカグサは、イネ科ヌカボ属に分類される多年生の草本植物であり、日本を含む北半球の温帯から亜寒帯地域に広く分布しています。道端や畑、牧草地など、日当たりの良い場所に生育する雑草として知られています。

特徴

形態: 草丈は50cmから100cm程度まで成長し、直立した茎を持ちます。葉は細長く、長さは5cmから20cm、幅は4mmから7mm程度。葉の表面はややざらつき、葉耳はありません。葉舌は円形に近い形から切形をしており、高さは3mmから5mm程度で、縁には細かいぎざぎざがあります。
繁殖: 種子による繁殖のほか、地下茎や匍匐茎によっても広がります。この繁殖力の高さが、コヌカグサが雑草として繁茂する要因の一つとなっています。
花: 円錐花序と呼ばれる穂をつけ、長さは10cmから20cm程度。花序の枝は輪生状に配置されます。小穂の長さは2mmから2.5mmで、一つの小穂には小花が1個のみ含まれます。開花初期は緑色をしていますが、次第に赤紫色を帯びてきます。開花時期は5月から7月。
その他: コヌカグサは花粉症の原因となる植物としても知られています。花粉の飛散時期には注意が必要です。

分布と生育環境

コヌカグサはヨーロッパを原産とし、牧草として導入されたものが各地で野生化しました。現在では、日本全国に分布し、日当たりの良い道端、畑地、牧草地、樹園地などで見られます。

利害

コヌカグサは、牧草としての価値は低く、畑地や牧草地では雑草として扱われることが一般的です。繁殖力が強く、他の作物や牧草の生育を阻害する可能性があります。

参考文献

佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 他『日本の野生植物　草本I 単子葉植物』平凡社、1982年。ISBN 4-582-53501-1。
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七『日本帰化植物写真図鑑』全国農村教育協会、2001年。ISBN 4-88137-085-5。

外部リンク

YList「BG Plants 和名-学名インデックス」：標準名、異名の検索に利用できます。
麦作のイネ科雑草の同定：中央農業総合研究センター 雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム 浅井元朗氏による解説（PDFファイル）。

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