コネクテッドカー

コネクテッドカー：進化と課題

概要

コネクテッドカーは、インターネットに常時接続できる自動車です。バイクの場合はコネクテッドバイクと呼ばれます。自動車のIT化によって、快適性や安全性が飛躍的に向上しました。車載センサーと内部ネットワーク、そしてクラウドとの連携により、様々な情報サービスの利用が可能になります。具体的には、自動運転技術の進化、安全機能の向上、車載インフォテインメントシステム（IVI）の高度化、運転の快適性向上、車両管理、運行管理、そしてスマートホームとの連携など、多岐に渡る分野での発展が期待されています。 さらに、運転状況を常時監視するテレマティクス保険の普及や、運転中に商品を注文して店頭で受け取るといった革新的なサービスも登場しつつあります。日本国内でも、助手席向けのアプリなど、新たなコネクテッドカー向けアプリケーションの開発が進められています。


普及状況

コネクテッドカーの普及は世界的に加速しています。ロシアでは2017年1月から、欧州では2018年4月から、通信機能搭載の自動緊急通報システムの搭載が義務化されており、これが普及を後押ししています。日本でも、自動緊急通報システムの性能基準が制定されましたが、義務化までは至っていません。欧米諸国と比較すると、日本のコネクテッドカー普及率は依然として低いと指摘されています。 しかし、通信機能を搭載していない従来の車両に対しても、後付けで通信機能を追加するサービスが登場しており、これは普及の促進に繋がる可能性があります。 例えば、ドイツテレコム社はOBD-2ポートから車両情報を取得し、車内Wi-Fiサービスを提供するなど、既存車両への対応も進んでいます。 IVI向けアプリの高度化も目覚ましく、音声操作可能なパーソナルアシスタントサービスの開発も進んでいます。さらに、道路沿線の天候予測に車両データを利用する取り組みや、通信事業者によるLTEや5Gを活用した次世代モビリティサービスの開発も活発化しています。 世界の新車販売におけるコネクテッドカーの割合は47%に達しています。


課題

コネクテッドカーは、インターネット接続による新たな課題も抱えています。2015年には、ジープ・チェロキーがネットワーク経由でハッキングされ、140万台のリコールに発展する事件が発生しました。これは、サイバーセキュリティの強化が喫緊の課題であることを示しています。

もう一つの大きな課題は、IT技術の進化速度と自動車の買い替えサイクルのミスマッチです。IT機器やサービスは非常に短いサイクルで進化・モデルチェンジを繰り返す一方、自動車の買い替えサイクルははるかに長いため、「クルマはまだ現役なのに、通信機能が陳腐化してしまう」という事態が発生します。 特に、車載システムは車種専用設計であることが多く、故障時の修理やアップデートが困難になるケースも少なくありません。 過去のテレマティクスサービスのように、利用者が減少してサービスが終了してしまうリスクも存在します。維持費の高額さも、普及を阻む要因の一つです。


プラットフォームと連携機能

コネクテッドカーのプラットフォームとして、QNX OS、Windows Automotive、AGLなどのOSが利用されています。また、スマートフォンとの連携には、Apple CarPlay、Android Auto、Smart Device Linkなどが用いられています。車両情報の標準化も進められており、W3CのVISS、GENIVI AllianceのVSSなどが活用されています。故障診断情報のクラウドへの送信に関するISO20078規格や、ダイナミックマップ生成のためのSENSORISによる標準化も進んでいます。Amazonは車載向け音声認識サービス「Alexa Onboard」を提供しています。


結論

コネクテッドカーは、自動車業界の未来を大きく変える可能性を秘めていますが、同時に、サイバーセキュリティや技術の陳腐化、高額な維持費など、多くの課題も抱えています。これらの課題を克服し、ユーザーにとって真に便利で安全なシステムを構築することが、今後の普及のカギとなるでしょう。

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