ジープ・チェロキー

ジープ・チェロキー：歴史と進化

ジープ・チェロキーは、1974年、アメリカン・モーターズ（AMC）がジープ・ワゴニアのスポーティな派生モデルとして発表したSUVです。当時、AMCはカイザー・ジープを傘下に収めており、チェロキーという名称はこの歴史を継承したものです。しかし、AMCはその後クライスラーに買収され、ダイムラー・ベンツとの合併など、幾多の変遷を経て現在に至ります。そのため、長きにわたって生産されたチェロキーは、同じモデルでもブランド名が異なる場合があります。

特に、熱心なジープ愛好家の間では、初代モデル（SJ型）をチェロキーの代名詞として認識する一方、日本では販売台数の多かったXJ型を指すことが一般的です。

各世代の特徴

チェロキーは、これまで5世代にわたってモデルチェンジを繰り返してきました。

初代 SJ型 (1974年-1983年): 本格的なオフロード性能を誇る4輪駆動車として登場。ヘビーデューティーなイメージが特徴でした。

2代目 XJ型 (1984年-2001年): 初代モデルの後継として、より洗練されたデザインと機能性を備えて登場しました。

3代目 KJ型 (2001年-2007年): XJ型の後継モデルとして、更なる進化を遂げました。

4代目 KK型 (2007年-2012年): デザインと機能性の向上に加え、環境性能の改善も図られました。

5代目 KL型 (2013年-): 大きな転換期となりました。フィアット傘下となったことで、従来のヘビーデューティーなイメージを脱却し、FF（前輪駆動）モデルもラインナップに加わったクロスオーバーSUVへと進化を遂げました。ダッジ・ダートをベースとしたプラットフォームを採用し、北米市場では新規車種として投入されました。この世代の特徴として、2.4L直列4気筒「マルチエア2 タイガーシャーク」、2.0L（のちに2.2L）直列4気筒ターボディーゼル「マルチジェット」、3.2L V6「ペンタスター」エンジンと、ZF製9速ATの組み合わせが挙げられます。グレードは「Sport」「Latitude」「Trailhawk」「Limited」が設定され、駆動方式はFFと4WDが選択可能でしたが、「Trailhawk」は4WDのみでした。

日本市場におけるチェロキー

日本市場では2014年5月に5代目KL型が導入されました。当初は右ハンドルのみで、「Longitude（ロンジチュード）」（2.4L FF）、「Trailhawk」、「Limited」（3.2L 4WD）の3グレードが設定されました。その後、2015年には「Longitude 4x4」が追加されましたが、2.4Lエンジンモデルは後に廃止され、「Trailhawk」と「Limited」のみとなりました。北米で設定されている「Sport」グレードは日本市場では販売されませんでした。

5代目チェロキーの特徴的なデザインとして、7スロットグリルを現代的にアレンジしたフロントマスクが挙げられます。3段構造の灯火類、台形形状のホイールオープニングなど、ジープブランドの伝統と現代的なデザインが融合しています。

安全装備も充実しており、SRSエアバッグに加え、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグ、ニーエアバッグを備えています。また、キーレスシステム、車線逸脱警報、パーキングアシスト、自動ブレーキなど、数々の先進安全技術を搭載していました（一部はジープブランド初採用）。

4WDシステムは、「Limited」グレードに「アクティブドライブII」、「Trailhawk」グレードに本格的なオフロード性能を誇る「アクティブドライブロック」を搭載。さらに、セレクテレインシステムにより、走行状況に合わせて5つのモードを選択できます。「Trailhawk」は、専用オーバーフェンダー、ルーフレールを装備し、オフロード走行時の車両姿勢制御機能「セレクスピードコントロール」も備え、「Trail Rated」バッジが与えられていました。

2018年にはマイナーチェンジを実施。フロントマスク、リヤゲートのデザイン変更、2.0L直列4気筒ツインスクロールターボエンジンの搭載、Apple CarPlay/Android Auto対応のUconnectシステム、ハンズフリーパワーリフトゲート、全灯LED化などが行われました。日本市場では、マイナーチェンジ後、3.2L V6エンジンが廃止され、2.0Lターボエンジンと2.4Lエンジンがラインナップされました。グレードは「Longitude」、「Limited」、「Trailhawk」の3種で、いずれも4WDのみとなりました。2022年11月現在では日本市場での販売は終了しています。

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