コネチカット妥協

コネチカット妥協 (Connecticut Compromise)

コネチカット妥協は、1787年に開催されたアメリカ合衆国の憲法制定会議で合意されたものであり、連邦議会の構成と各州の代表数を巡る重要な妥協案です。この妥協案は、コネチカットの代表ロジャー・シャーマンの提案に基づいており、連邦議会を二院制とし、下院の各州の代表者数は州の人口に応じて決定され、上院の代表者数はすべての州から2名に設定されるという内容でした。この構造は、1787年における大妥協（Great Compromise of 1787）やシャーマン妥協（Sherman Compromise）とも呼ばれています。

背景

コネチカット妥協の背景には、当時のアメリカ合衆国における州の人口差と政治的な権力分配に関する対立がありました。1787年5月29日、バージニアのエドムンド・ランドルフが次のような提案を行いました。彼の提案では、連邦議会は二院制とし、両院の議員は各州の人口に比例して選出されることが求められていました。この案は「バージニア案」として知られ、各州の多数派の意見が少数派を押し潰すことを懸念した人口の少ない州からの反発を呼びました。このような状況から、ニュージャージー代表団のウィリアム・パターソンは「ニュージャージー案」を提唱しました。これは、一院制で各州が均等な数の代表者を持ち、連合規約を残す形で会議の権限を少し強化する内容でした。

会議の進行に従い、南部州は北部州より人口が急増していたため、バージニア案を支持する声が上昇していきました。この中で、代表者たちは特に州の自立性を維持したいと考えていました。こうした対立は次第に激化し、最終的には会議は膠着状態に陥りました。

妥協案の形成

この対立を解消するために、各州から1名ずつの代表者からなる委員会が設置され、妥協策を検討することとなりました。7月5日、委員会は報告書を提出し、この内容が後に「大妥協」を形成する基礎となります。この報告書は、上院では各州が同数で投票権を持ち、下院では人口4万人につき1名の代表を出すこと、さらに奴隷人口の5分の3を州の人口に組み入れる「5分の3妥協」を含むものでした。これにより、税に関する法案は下院で起草されることが提言されました。

シャーマンは、二院制を支持しつつも、下院の代表が自由住民の数によって決まること、上院では各州が1票を持つことを求めました。この意見は大きな州の賛同を得るには困難でしたが、最終的にベンジャミン・フランクリンなどが提案を修正することで、妥協案が承認されることとなりました。新たに提案された上院の個別投票は、議会の代議員が州ごとに投票しないことを可能にし、個々の州の投票数において大きな影響を持つこととなりました。

その後ノースカロライナ州の支持とマサチューセッツ州の棄権が相まって、妥協案は成立しました。この結果、コネチカット妥協によって、連邦議会は上院がニュージャージー案に基づく平等な代表、下院がバージニア案に基づく人口 proporcional の代表者をもつ形が確立されました。さらに、下院は税制提案に関して特権を与えられることとなりました。

コネチカット妥協はその後のアメリカ政治の基盤を構成する際に重要な役割を果たしており、政治的な権力の分配における重要なモデルとなっています。

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