コフラミンゴ

コフラミンゴ（小ふらみんご）

分類と特徴

コフラミンゴ（学名：Phoenicopterus minor）は、フラミンゴ目フラミンゴ科に分類される鳥類です。一部の学説では、本種を独立した「コガタフラミンゴ属」（Phoeniconaias属）として扱うこともあります。この鳥はフラミンゴ類の中では最も小柄で、成鳥の全長はおよそ80センチメートルから90センチメートルです。羽毛の色は、ほとんどが淡いピンク色を帯びた白色をしています。

大型のオオフラミンゴとの識別点として最も明確なのは、コフラミンゴの方がくちばしの先端の黒い部分が広いことです。ただし、雌雄間で体の大きさに差があるため、単純な体格だけで両種を見分けるのは難しい場合があります。

分布

コフラミンゴの生息域は、アフリカ大陸の大地溝帯周辺を起源とし、広くアフリカに分布しています。さらに東方へも広がり、パキスタンからインドの北西部にかけても見られます。アフリカは本種の主要な生息地であり、特にタンザニア北部にあるアルカリ塩湖であるナトロン湖は、世界最大級のコフラミンゴの繁殖地として知られています。

本来の生息地ではない地域でも確認されることがあり、南ヨーロッパのスペインでは非常に稀な迷鳥として観察された記録があります。また、動物園などでの飼育個体が逃げ出したと考えられる事例も、各地で報告されています。

生態

コフラミンゴは、アルカリ性の塩湖や汽水湖、あるいは沿岸の干潟といった水辺環境に生息しています。フラミンゴ類の中では最も個体数が多く、その総数は約200万羽に達すると推定されています。

繁殖期には、他のフラミンゴの仲間と同様に、泥を盛り上げて円錐形の巣を作り、そこに通常1個の白っぽい卵を産みます（稀に2個の場合もあります）。抱卵期間は約28日間で、オスとメスが協力して卵を温めます。

孵化した雛は比較的早く巣立ち、他の雛と集まって大きな群れを作ります。この幼鳥の群れは時に数百羽、あるいは数千羽を超える規模になります。幼鳥の群れは数匹の成鳥に保護されながら、餌場や安全な場所を求めて約32キロメートルもの長距離を移動することもあります。

コフラミンゴの主な食物は、アルカリ湖に豊富に生息する藍藻類、特にスピルリナであると長らく考えられていました。しかし、彼らの羽毛が鮮やかなピンク色をしているのは、摂取する藻類や、それらを食べた小エビなどの甲殻類に含まれるカロテノイド色素に由来すると考えられています。長く湾曲した独特なくちばしは、水中の微細な藻類や微生物を効率的に漉し取って食べるのに適した構造をしています。

人間との関係と保全

1970年代には約600万羽が生息していたと推定されていますが、それ以降、個体数は大幅に減少しています。主な原因は、人間の活動によるもので、特に生息地である湖畔の開発による環境破壊や、産業排水などによる水質汚染が大きな影響を与えています。

特に東アフリカのナクル湖やボゴリア湖では、近年のコフラミンゴの個体数に、重金属などの汚染物質が影響を及ぼしている可能性が指摘されています。これらの湖の環境悪化は、大量のコフラミンゴの死をもたらすこともあります。

コフラミンゴは国際的な保全の対象となっており、移動性の高い種であることから、国際連合環境計画（UNEP）などの主導のもと、渡り鳥に関する国際的な取り決めによって保護されています。その保全のためには、生息地の環境保全と水質改善に向けた取り組みが不可欠です。

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