コブウシ

コブウシ（瘤牛/Bos primigenius indicus）

コブウシは家畜牛の一種であり、ゼビーやゼブーといった別名でも呼ばれています。起源は南アジアにあり、熱帯地方を中心に広がっています。最近では北アメリカや南アメリカでも見られるようになっています。

特徴

世界には家畜牛が大きく2つの系統に分けられます。1つはコブ無し牛の系統、もう1つがコブウシの系統です。コブウシは特に耐暑性があり、熱帯地域の病気や害虫への抵抗力が強い特徴があります。このため、南アジアから他の高温地域へと広がりました。

身体的な特徴として、コブウシはコブ無し牛に対して、狭い頭骨や背中のコブ、長く垂れ下がった耳を持つ点が挙げられます。また、オスの個体にはより大きなコブが見られ、コブは筋肉や脂肪によって構成されています。角は真っ直ぐ上方またはやや後方へ伸びる形状です。

歴史

コブウシは古代インド亜大陸に起源を持ち、その歴史は古く、様々な時代で広く飼育されてきました。例えば、バビロニア南部のウル遺跡からは紀元前3000年にインドからコブウシが輸入された痕跡が見つかっています。牛は古代から人々にとって重要な存在であり、ヒンドゥー教やバラモン教など多くの宗教において神聖視されてきました。

分類

コブウシの学名は以前はBos indicusでしたが、今では共通の祖先であるオーロックスを基にBos primigeniusが用いられています。ただし、Bos indicusの名称も依然として一般的に使われています。

利用

コブウシの利用法はさまざまですが、特にインドのヒンドゥー教徒の間では肉を食べることは文化的に禁忌とされています。しかし、乳や輓獣、乗用獣としての利用は広がっており、糞は燃料や堆肥としても重宝されています。

コブウシはその暑さに強い特性から、熱帯地域での肉牛の改良にも利用されています。また、インドでは牛が神聖視されているため、無断で牛に危害を加えようとした者に対して暴力が振るわれる事件も発生しています。ブラジルでは、コブ肉を使用したシュハスコ料理の一部としてクッピン（cupim）という料理が親しまれています。

コブウシは、その多様な利用と文化的な背景から、ただ単に家畜としての役割だけでなく、広く人々の生活に深く結び付いている存在です。

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