コペンハーゲン条約 (1660年)

コペンハーゲン条約（1660年）

コペンハーゲン条約は、1660年 5月27日に締結された、デンマーク＝ノルウェーとスウェーデンの間の北方戦争を終結させた条約です。この条約は、ロスキレ条約の追加条約ともみなされ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー間の国境を決定しました。特筆すべきは、この条約によって定められた国境線が、現代においてもほとんど変わっていないという点です。

背景

条約締結に至る背景には、複雑な政治的駆け引きがありました。スウェーデン王カール10世は、当初、トロンデラーグ地方とボーンホルム島をデンマーク＝ノルウェーに返還する代わりに、アーケシュフース県以外の地域を受け入れる意向でした。一方、デンマーク＝ノルウェー王フレデリク3世は、ロスキレ条約の履行を拒否し、1645年のブレムセブルー条約の状態への回復を目論んでいました。

両者の主張が対立する中、フランスとイングランドがスウェーデン側で、ネーデルラント連邦共和国がデンマーク側で仲介に入りました。フレデリク3世は、スウェーデンがスコーネ地方を領有し続けることでコペンハーゲンが常に脅威にさらされると主張し、スコーネ奪還のためのデンマーク・オランダ同盟を提案しました。彼はブランデンブルク選帝侯領とオーストリアの支持も得ましたが、オランダはエーレスンド海峡の東西両岸が同じ国に支配されると、通行税が引き上げられ、バルト海貿易が阻害されることを懸念していました。イングランドも同様の懸念を抱いており、オランダとイングランドはエーレスンド海峡の東西両岸が同じ国に支配されることを阻止することで合意しました。

さらに、フランスのジュール・マザラン枢機卿は、オランダがデンマークを支援してスウェーデンに対抗した場合、フランスがオランダに侵攻すると脅しました。1660年2月にカール10世が死去すると、フレデリク3世は直ちにロスキレ条約を破棄し、無効としました。これに対し、スウェーデンの外交官は警戒しましたが、イギリスとフランスは、スウェーデンがトロンデラーグを放棄する限り、ロスキレ条約の条件で条約を締結することを保証しました。デンマークはブランデンブルク、オーストリア、ポーランドの支持を得てスコーネの返還を主張しましたが、オランダはこれを支持しませんでした。1660年3月8日、ミヒール・デ・ロイテル率いるオランダ艦隊は、スウェーデン艦隊を封鎖していたランズクルーナ港からの出港を命じられました。このような状況下で、フレデリク3世は譲歩し、3月24日に本格的な交渉が開始されました。

交渉

交渉において最も争われたのは、ボーンホルム島の支配権でした。ボーンホルムの住民はスウェーデンの占領軍に対して蜂起し、指揮官のヨハン・プリンツェンスケルドを殺害していました。もしボーンホルムがスウェーデン領に残った場合、住民への報復が予想されました。フレデリク3世はボーンホルム住民の保護を誓っており、スウェーデンや交渉国の脅しにも屈せず、ボーンホルムの返還を要求しました。その後、ボーンホルム返還の補償として、スコーネにおけるデンマーク貴族領のいくつかをスウェーデン王領に割譲する案が提示されました。

しかし、この時点で仲介国の代表がデンマークとスウェーデンの間で陰謀を企てるようになり、交渉は停滞し始めました。デンマークのハンニバル・セヘステッドは激怒し、デンマークとスウェーデンの間で直接交渉を行うべきだと主張しました。スウェーデンはこの主張を受け入れ、数日後には条約の内容について合意に達しました。

内容

1660年 5月27日、条約はコペンハーゲンとスウェーデンの要塞化された軍営のあるカールスタードの間にあるテントで締結されました。4日後、シェラン島にいた残りの3千人のスウェーデン軍は、ついにコペンハーゲン周辺から撤退を開始しました。

条約の主な内容は以下の通りです。

スウェーデンはエーレスンド海峡以東を維持する（ヴェン島、スコーネ地方、ハッランド地方、ブレーキンゲ地方、ブーヒュースレーン地方を含む）。
スウェーデンはエーレスンド海峡通行税を免除される。
トロンデラーグ地方（ノルドモレとロムスダルを含む）はノルウェーに、ボーンホルム島はデンマークに返還される。
スウェーデンは占領したデンマークとノルウェーの要塞のうち、割譲される箇所を除き、条約の批准書が交換された翌日に退去する。
スウェーデン王は、ボーンホルム島をデンマークに返還する補償として、スコーネにおけるいくつかの貴族領を得る。デンマーク王は、デンマーク国内の領地でこれらの貴族に補償を行う。
デンマークは、スケーヒンとファルステルボーの間のビーコンの維持費として、スウェーデンに毎年3,500スウェーデン・リクスダラーを支払う。
戦争捕虜は全て解放される。
これまでのデンマーク・スウェーデン間の条約は再確認される。

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