コボラ

コボラ（小鯔、Planiliza macrolepis）

コボラは、スズキ目ボラ科に属する魚類の一種です。主に温暖な黒潮が流れ込む日本の河川河口域や沿岸部の浅い海に生息しています。比較的小型のボラ科魚類として知られ、その分布域は広範囲にわたります。しかし、生息状況に関する詳細な情報が不足している地域もあり、例えば高知県版のレッドデータブックにおいては「情報不足種」として掲載されています。

分布

日本国内におけるコボラの主な生息地は、本州の比較的温暖な地域から南西諸島にかけて広がっています。具体的には、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県といった本州の太平洋沿岸部、そして四国の徳島県、愛媛県、高知県、さらに九州の大分県、宮崎県、鹿児島県、そして南西諸島で確認されています。これらの主要な分布域に加え、日本海側の石川県や、遠く離れた宮城県、五島列島などからもまれに記録されることがあります。国外に目を向けると、コボラはインド太平洋の熱帯域に広く分布していることが知られており、その生息範囲の広さが特徴の一つです。

形態

コボラは、ボラ科に属する魚類の中では比較的小柄な種です。成熟した成魚の全長は一般的に25センチメートルから30センチメートル程度で、このサイズはボラの仲間としては小型に分類されます。体形に関する特徴としては、臀鰭（しりびれ）の軟条数が8から10本であることが挙げられます。また、側線を基準とした縦列の鱗（うろこ）の数は30から34枚と、ボラ科の他の種類と比較するとやや少なめです。目元を覆うように発達する脂瞼（しけん）は、コボラにおいてはほとんど発達しません。胸鰭（むなびれ）は体のやや上方に位置しており、その付け根の部分には特徴的な黄金色の斑紋が見られます。尾鰭（おびれ）は中央部が少しへこんだ、いわゆる湾入形をしています。また、上唇の表面は滑らかであるという特徴も持ち合わせています。

生態

コボラは、河川の河口付近に広がる汽水域から、海岸線に近い沿岸部の浅い水域にかけて、幅広い環境に生息しています。特に、泥底や砂泥底などの底質を好む傾向があります。成長した成魚は、潮の満ち引きの周期に合わせて、河川域と海洋域との間を活発に移動する習性を持つことが知られています。このような回遊は、餌を探したり、生息に適した環境を求めて行われると考えられます。食性については、主に泥底に堆積した有機物であるデトリタスや、底に生える藻類などを餌としています。これらの物を口で吸い込み、泥など不要なものを鰓で濾し取って栄養分を摂取する捕食方法をとります。

脚注

記載なし

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