コミュニケーション学部

コミュニケーション学部とは、現代社会における多様なコミュニケーションのあり方を学際的に教育・研究することを目的として、大学に設置される学術組織の名称です。

日本におけるコミュニケーション学部

日本でコミュニケーション学部が最初に設置されたのは、1995年の東京経済大学です。これは、大学の学部名称として日本で初めてカタカナが用いられた事例としても知られています。学部名称にカタカナを使用することについては、当時、文部省（現：文部科学省）内に否定的な見方をする傾向があったとされており、これに先立つ1983年に常磐大学人間科学部に設置された日本初のコミュニケーション学科が、カタカナ名称の学科として当時革新的であった背景にも影響を与えています。コミュニケーション学部は、いわゆる「カタカナ学部」の代表的な例としてしばしば言及されることがあります。

現在、日本で「コミュニケーション学部」という名称を持つ主要な大学としては、東京経済大学が挙げられます。また、名称は異なりますが、コミュニケーションを主要な研究対象とする学部は他にも多数存在します。例えば、松蔭大学にはコミュニケーション文化学部があります。さらに、「コミュニケーション」という語を含む名称を持つ学部は多岐にわたり、東京国際大学の言語コミュニケーション学部、浜松学院大学の現代コミュニケーション学部、国際コミュニケーション学部、明治大学の情報コミュニケーション学部、立教大学の異文化コミュニケーション学部、デジタルハリウッド大学のデジタルコミュニケーション学部、愛知淑徳大学などに設置されているグローバル・コミュニケーション学部、江戸川大学のメディアコミュニケーション学部など、その研究対象やアプローチによって多様な学部が設置されています。

過去にはコミュニケーション学部を設置していたものの、後に改組・再編された大学もあります。愛知淑徳大学では2000年に設置されましたが、2010年には心理学部と交流文化学部の一部に再編されました。山陽学園大学では2003年に国際文化学部から改称されましたが、2009年には総合人間学部へ改組されました。名古屋商科大学では2010年に設置されましたが、2018年には国際学部へと改組されています。

海外におけるコミュニケーション学部

海外、特にアメリカ合衆国では、「Department of Communication」や「School of Communication」といった名称の教育組織が多くの大学に設置されており、その日本語訳として「コミュニケーション学部」が用いられることが一般的です。メリーランド大学、ウェストフィールド州立大学、ボストン大学、ペンシルベニア州立大学、ミネソタ州立大学マンケート校、ノースウェスタン大学、ニューメキシコ大学、ユタ大学、ワシントン州立大学、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校、スタンフォード大学、南カリフォルニア大学など、数多くの著名な大学にコミュニケーション関連の学部や学科が存在します。

アジア諸国においても、コミュニケーション関連の学部は設置されています。例えば、韓国の西江大学校には「커뮤니케이션학부」（School of Communication）があり、日本語ではコミュニケーション学部と訳されます。台湾の国立政治大学にも「傳播學院」（College of Communication）があり、同様にコミュニケーション学部と訳されることがあります。

アメリカやアジア以外にも、コミュニケーション学部やそれに類する組織を持つ大学は世界中に存在します。例としては、カナダのサイモンフレーザー大学、タイのチュラーロンコーン大学、トルコのビルギ大学などが挙げられます。

このように、コミュニケーション学部は国内外の多くの大学で設置され、人間活動の根幹をなすコミュニケーションに関する学問分野の発展と教育を担っています。

もう一度検索