コモ湖:イタリアを代表する美しい湖と豊かな歴史
イタリア北部
ロンバルディア州に広がるコモ
湖は、その独特の逆Y字型をした形状と、周囲の
アルプス山脈の絶景から、ヨーロッパ屈指の観光地として知られています。
イタリア国内でも3番目に広い
湖面積を誇り、古くから貴族や富裕層に愛されてきた歴史を持ちます。
地理と名称
コモ
湖は、行政上はコモ県とレッコ県の2県にまたがっています。主要な水源は、ヴァルテッリーナ渓谷を流れるアッダ川で、北端部にはメーラ川などの支流も流れ込んでいます。
湖の東南端、レッコ付近から再びアッダ川として流れ出ていきます。地理学的には、
アルプス山脈の主要な区分であるSOIUSAにおいて、コモ
湖は東アルプスと西アルプスの境界線上に位置している重要な特徴があります。東側にはベルガモ・アルプスやプレアルプス、西側にはルガノ・アルプスといった山々が連なります。
ラーリオ
湖という別名でも呼ばれ、
湖の東南部のレッコ近辺はレッコ
湖と呼ばれることもあります。
歴史と文化
コモ
湖は、古代ローマ時代からその美しい景観で知られ、皇帝やユリウス・カエサルなども保養に訪れたと言われています。第二次世界大戦末期には、ベニート・ムッソリーニがここで捕縛され、処刑されたという歴史的な出来事もありました。近年では、中近東からの移民が、
スイスへの密入国の中継地として利用されるケースもあるようです。
長年に渡り、その美しい景観から、貴族や富裕層の別荘地として発展してきました。
湖畔には、
ヴィラ・デステ、
ヴィラ・デル・バルビアネッロ、
ヴィラ・セルベッローニ、
ヴィラ・カルロッタなど、ヨーロッパ各国の王室や富豪が建てた豪華な
ヴィラが数多く現存しており、これらの
ヴィラ群はコモ
湖の魅力を象徴する存在です。特に、
ベッラージョという
湖の中央部に位置する半島には、多くのホテルが立ち並び、5つ星ホテルのグランド・ホテル・
ヴィラ・セルベッローニもその一つです。
コモ湖と映画
コモ
湖とその周辺地域は、映画のロケ地としても非常に人気があります。有名な例としては、『スター・ウォーズ エピソード2』の惑星ナブーの
湖畔シーンや、『
オーシャンズ12』の一部シーンなどが挙げられます。息を呑むような美しい風景が、映画の世界観をさらに豊かに彩っています。
サイクリストの聖地
コモ
湖周辺は、サイクリストにも人気の場所です。特に、カンツォ方面から
ベッラージョに通じるギザッロ峠の頂上にあるマドンナ・デル・ギザッロ教会は、古くからサイクリストの休憩場所として親しまれてきました。この教会は1949年、ローマ教皇庁から「サイクリストの女神が祀られた教会」として認定され、「サイクリストの聖地」として広く知られています。多くの名選手が、勝利と安全を祈願して、バイクやウェアを奉納しました。
伝統と格式のある自転車ロードレース「モニュメント」の一つであるイル・ロンバルディアでは、毎年、コモ
湖周辺とギザッロ峠を含むコースが設定され、マドンナ・デル・ギザッロ教会の前を通過します。
自然環境
コモ
湖の北端部、アッダ川とメーラ川が流れ込む
氾濫原は、メッツォーラ
湖と共にピアン・ディ・スパーニャおよびメッツォーラ
湖自然保護区を形成し、
ラムサール条約登録湿地となっています。1976年に登録された
イタリア最初の登録湿地の1つであり、貴重な自然環境を守っています。
まとめ
コモ
湖は、歴史、文化、自然、そしてスポーツが融合した、多様な魅力を持つ観光地です。美しい風景、豪華な
ヴィラ、そしてサイクリストの聖地としての側面を合わせ持つコモ
湖は、訪れる人々に忘れられない思い出を与えてくれるでしょう。