コヨウラクツツジ

コヨウラクツツジ（小瓔珞躑躅、学名：Menziesia pentandra）は、ツツジ科ヨウラクツツジ属に分類される落葉性の低木です。高さは1～2メートル程度に成長し、若い枝には粗い毛が生えているのが特徴です。葉は枝に互い違いに生え、長さ2～4mmの葉柄を持っています。葉身は長楕円形で、長さ1.5～5cm、幅1～2.5cmに及びます。葉の先端は尖っており、表面と縁には粗い毛が見られます。

花期は5月から6月にかけてで、この時期になると、長さ1～2cmの花柄の先に、特徴的な花を下垂させて咲かせます。花冠は長さ5～6mmで、黄緑色から赤褐色へと変化し、歪んだつぼのような形をしています。花冠の先端は5つに裂けており、外側へ反り返るのが特徴です。花柄には腺毛が散生しています。和名の「コヨウラクツツジ」は、この花が仏像の装身具である瓔珞（ようらく）に似ており、かつ花が小さいことに由来しています。この名前は、花の形と小ささを表すだけでなく、その美しさを連想させます。

分布域は広く、日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、冷温帯から亜寒帯の森林内や林縁、または岩地といった場所に生育しています。日本国内だけでなく、東アジアの南千島や樺太にも分布しており、比較的寒冷な地域を好む傾向があります。この分布域の広さは、コヨウラクツツジの適応能力の高さを示唆しています。

コヨウラクツツジは、その独特な花の形と色合いから、山野草愛好家にも人気があります。春から初夏にかけて、ひっそりと咲くその姿は、自然の静けさの中に、独特の美しさを添えます。

参考文献

佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1989)平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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