コルネリア・エンダー

コルネリア・エンダー（Kornelia Ender, 1958年10月25日 - ）は、旧東ドイツ出身の女子競泳選手として、その名を世界に轟かせました。

18歳で出場したモントリオールオリンピックでは、東ドイツ女子競泳チームの中心選手として目覚ましい活躍を見せました。100m、200m自由形では当時の世界新記録を樹立し、金メダルを獲得。さらに、100mバタフライでも世界タイ記録で金メダルに輝きました。400mメドレーリレーでは、自由形を担当し、世界新記録での金メダル獲得に大きく貢献。出場した4種目すべてで金メダルを獲得し、そのすべてが世界記録という偉業を達成しました。しかし、最後の400mリレーでは世界記録を更新しながらも、アメリカに僅差で敗れ、銀メダルに終わりました。

エンダーは幼少の頃から才能を開花させ、1972年のミュンヘンオリンピックには13歳という若さで出場。200m個人メドレーでオーストラリアのシェーン・グールドに次ぐ2位に入賞し、銀メダルを獲得。その他2つの銀メダルも獲得しました。翌年からは、数々の大会で世界新記録を樹立。モントリオールオリンピックでの4つを含め、合計32の世界新記録を打ち立てました。

しかし、その輝かしい実績の裏には、暗い影も潜んでいました。1991年、エンダーは1976年のモントリオールオリンピック当時から囁かれていたドーピング疑惑について、自らの口で語りました。チームドクターとコーチから、数ヶ月にわたり注射によって薬物を投与されていたことを告白。当時、エンダーはその薬が何であるかを知らされず、その後も正確な情報を得ることはできませんでした。彼女は薬が「再生と回復」を助けると説明を受け、筋肉の急激な発達にも、厳しいトレーニングの成果だと信じていました。

オリンピック後、エンダーは同僚の男子競泳選手ローラント・マッテスと結婚し、競技生活から引退。しかし、マッテスとは後に離婚。その後、東ドイツの陸上十種競技およびボブスレー選手であるシュテフェン・グルムトと再婚しました。

コルネリア・エンダーの功績は、世界水泳殿堂にも刻まれています。その輝かしい記録と、ドーピング問題に翻弄された苦悩は、今もなお語り継がれています。

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