コルネリス・ケテル

コルネリス・ケテル

コルネリス・ケテル（Cornelis Ketel、1548年3月18日 – 1616年8月8日）は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて活動したオランダの画家です。主に肖像画を手掛け、特に集団肖像画の分野で初期の重要な作品を残し、後世のオランダの画家たちに影響を与えました。フランス、イギリスでの経験を経て、最終的にアムステルダムを拠点に活躍しました。

略歴

ケテルは1548年にゴーダで誕生しました。私生児として生まれた彼は、同名の工芸家であった叔父のもとで美術の基礎を学んだとされています。その後、1565年頃にデルフトに移り、当時画家として知られていたアントニー・ブロックラント・ファン・モントフォールトに師事しました。約1年間の修業を経て、彼は活動の場をフランスに移し、パリやフォンテーヌブロー宮殿で制作に携わりました。しかし、当時のフランスは宗教的な混乱の時期であり、ケテルは1567年には故郷のゴーダに戻らざるを得ませんでした。

ゴーダで1573年まで過ごした後、ケテルはイギリスのロンドンへ渡り、1581年まで約8年間活動しました。当時のロンドンは、フランドル出身の肖像画家ハンス・イワースや、イタリアのマニエリスムを代表する画家フェデリコ・ツッカリといった著名な画家たちが活躍しており、ケテルは彼らから大きな影響を受けました。この時期、彼は多くのイギリスの有力者の肖像を描いています。ネーデルラントの画家の伝記を著したカレル・ファン・マンデルの記録によれば、ケテルは1578年にイングランド女王エリザベス1世の肖像画制作を依頼されたとされています。

1581年からは、亡くなるまでの約35年間をアムステルダムで過ごし、主に肖像画家として精力的に活動しました。彼の代表作の一つに、1588年に描かれた集団肖像画「ディルク・ヤコブスゾーン・ローゼンクランス大尉とパウw中尉の中隊」（現在はアムステルダム国立美術館所蔵）があります。この作品に見られるようなケテルの集団肖像画は、後のオランダにおける集団肖像画のスタイルの初期の例として非常に重要視されており、このジャンルの発展に大きく貢献したと考えられています。

弟子には、ピーテル・イサークスゾーン、イサーク・オゼライン、コルネリス・ファン・デル・フォールトらがいます。ケテルの技法やスタイルは、彼らの世代を通じて受け継がれていきました。

代表作

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ディルク・ヤコブスゾーン・ローゼンクランス大尉とパウw中尉の中隊 (1588年頃)

参考文献

Pita Andrade, José Manuel; Borobia Guerrero, María del Mar. Maestros antiguos del Museo Thyssen-Bornemisza (en castellà). Madrid: Lunwerg Editores, 1992.
B. A Heezen-Stoll, Cornelis Ketel, uytnemende schilder, van der Goude: Een iconografische studie van zijn 'historien', éditeur inconnu, 1987.

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