コルフ (仮装巡洋艦)

仮装巡洋艦コルフ：客船から軍艦へ、そして再び客船へ

第二次世界大戦下、イギリス海軍は数々の商船を軍艦として転用しました。その代表的な艦船の一つに、元P&O社の貨客船「コルフ」があります。本稿では、コルフの艦歴、武装、そしてその変遷について詳しく解説します。

誕生から徴用まで

1931年9月、ロンドン～ボンベイ～香港航路向けとして建造されたコルフは、当時としては高速な19.8ノットを誇る客船でした。その高い航行性能に着目したイギリス海軍は、1939年、第二次世界大戦勃発と同時にコルフを徴用。アレックス・スティーブンス社リンハウス造船所で、仮装巡洋艦への改装工事が行われました。

商船から軍艦への変貌

改装前のコルフは、典型的な商船の姿をしており、垂直に切り立った艦首、高い乾舷の船首楼と艦尾楼、2本の煙突、そして複数のマストとデリック・クレーンを備えていました。しかし、海軍への徴用後、これらの商船時代の設備は撤去され、外観は大きく変わりました。特に、2本の煙突のうち後部はダミーファンネルであったため、撤去され1本煙突となりました。

強力な武装

非武装の客船であったコルフは、軍艦として運用するため、新たな武装を装備しました。その多くは、軍縮条約によって解体された軽巡洋艦からの流用です。

主砲

主砲は、Mk XII 15.2cm（45口径）速射砲を採用。45.36kgの砲弾を15度仰角で発射した場合の射程は13,085mに達しました。単装砲架で搭載され、仰角20度、俯角7度、左右150度の旋回能力を有していましたが、上部構造物によって射界は制限されました。砲の操作や装填は人力で行われ、発射速度は毎分5～7発でした。

その他の武装

対空火器として、1910年型Mark I 7.62cm（40口径）高角砲を単装砲架で装備。5.67kgの砲弾を45度仰角で発射した場合の射高は9,970m、最大仰角90度では7,160mでした。仰角90度、俯角10度、左右180度の旋回能力を有していましたが、これも上部構造物によって制限を受けました。発射速度は毎分12～14発でした。さらに、53.3cm水中魚雷発射管を片舷1基ずつ計2基搭載していました。

武装の近代化

1943年には、武装の近代化が実施されました。主砲の15.2cm速射砲8基が撤去され、仰角30度まで引き上げられた新型砲架のMark XII型に更新。9基の単装砲架で搭載されました。旧式の7.6cm高角砲は、Mark V 10.2cm（45口径）高角砲に換装され、連装砲架で2基搭載されました。この高角砲は、14.6kgの砲弾を44度仰角で15,020m、最大仰角80度で9,450mの高度に到達させることができました。近接防御火器として、ヴィッカース4cm（39口径）ポンポン砲4基と、エリコン2cm（76口径）機関砲19基が追加されました。

艦歴とその後

仮装巡洋艦として1944年まで活躍したコルフは、1947年に海軍から返還。1948年に貨客船として復元され、1961年まで極東航路で運航を続けました。老朽化のため、1961年10月7日に解体業者に売却され、大阪で解体されました。コルフの艦歴は、戦争と平和、そして船の生涯を象徴する物語として、今も語り継がれています。

参考資料

「Conway All The World's Fightingships 1922-1946」（Conway）
「世界の艦船 増刊第46集　イギリス巡洋艦史」（海人社）
「NF文庫 特設巡洋艦 砲艦入門」（光人社、大内健二）
Armed Merchant Cruiser HMS Corfu (F 86)
* ss CORFU

もう一度検索