コレコビジョン

ColecoVision：80年代を彩った家庭用ゲーム機の軌跡

ColecoVisionは、1982年8月にColeco社から発売された家庭用ゲーム機です。当時としては画期的な高性能グラフィックと、多様なゲームソフトラインナップを誇り、80年代のゲーム市場に大きな影響を与えました。本稿では、ColecoVisionの歴史、技術仕様、そして競合他社との関係性について詳しく解説します。

高性能と拡張性：業務用ゲーム並みのクオリティ

ColecoVisionは、発売当時、業務用ゲームに匹敵する高品質なグラフィックとゲーム性を実現したことで注目を集めました。16色の鮮やかな色彩表現と、スムーズな動作は、当時の家庭用ゲーム機の中でもトップクラスの性能を誇っていました。さらに、本体のハードウェアを拡張できる仕組みがあったことも、ユーザーに大きな魅力を与えました。

豊富なソフトウェアと商業的成功

ColecoVisionは、発売と同時に12タイトルのゲームソフトがラインナップされ、その後も続々と新作がリリースされました。1982年から1984年にかけて、約100タイトルものROMカートリッジ形式のゲームソフトが市場に出回り、ユーザーに幅広い選択肢を提供しました。

本体価格は170ドルと設定され、市場において競争力のある価格帯で販売されました。その結果、アタリショック直前の1983年初頭までに100万台を売り上げ、1985年までに200万台、最終的には600万台もの販売数を記録する大ヒット商品となりました。

任天堂との関係：ファミコン開発への影響

ColecoVisionの成功には、任天堂との特筆すべき関係があります。Coleco社は任天堂と独占契約を結び、『ドンキーコング』をColecoVisionの公式ゲームソフトとして移植しました。この移植版は、業務用アーケード版に迫る高い完成度を誇り、ColecoVisionの人気を爆発的に高める大きな要因となりました。

ColecoVisionの成功を受け、任天堂は日本での販売権獲得を模索しましたが、条件面での折り合いがつかず、最終的に自社でカートリッジ交換方式のゲーム機開発に着手しました。それが後のファミリーコンピュータ（ファミコン）です。この経緯から、ColecoVisionは日本市場には進出せず、未発売のままとなりました。セガもColecoVisionの日本販売代理権獲得を目指しましたが、実現しませんでした。

Atariとの訴訟：互換性モジュールをめぐる争い

ColecoVisionは、オプションの拡張機器を用いることで、Atari 2600のゲームソフトをプレイすることができる互換性を持っていました。しかし、この互換性モジュールが、Atari 2600の上位機種であるAtari 5200の販売に悪影響を与えると考えたAtari社から、Coleco社は販売差し止めを求める訴訟を起こされました。Coleco社は独占禁止法違反で反訴し、最終的にはロイヤリティの支払いで和解に至りました。

ColecoVisionの技術仕様

CPU：Zilog Z80A @ 3.58 MHz
ビデオプロセッサ：Texas Instruments TMS9928A
解像度：256x192
スプライト数：32
色数：16色
サウンド：Texas Instruments SN76489A
VRAM：16 KB
RAM：1 KB
* 記憶容量：8/16/24/32 KB（カートリッジ式）

その後と現在

1986年には、ColecoVisionと非常に類似したゲーム機Dinaが発売されました。現在、ColecoVisionのブランドはRiver West Brands社が所有しています。ColecoVisionは、その革新的な技術と商業的成功によって、家庭用ゲーム機の歴史に大きな足跡を残しました。また、任天堂のファミコン開発にも間接的に影響を与えた重要な機種と言えるでしょう。

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