コロナス・フォトン

コロナス・フォトン（Koronas-Foton）は、ロシアが開発した太陽観測衛星であり、「CORONAS-Photon（Complex Orbital Observations Near-Earth of Activity of the Sun-Photon）」とも呼ばれます。この衛星は、国際的な「Living With a Star」計画の一環として、ロシアのコロナス計画における3番目の衛星として位置づけられていました。

2009年1月30日、プレセツク宇宙基地からツィクロン-3ロケットによって打ち上げられ、この打ち上げはツィクロン-3ロケットの最終飛行となりました。衛星は当初、設計寿命3年で、500km×500km、傾斜角82.5度の低い極軌道で運用される予定でした。

この計画の主な目的は、太陽大気中に蓄積された自由エネルギーの研究でした。太陽大気のエネルギーは、粒子現象や太陽フレアの加速、さらには地球の磁気嵐にも影響を与えると考えられており、これらのメカニズム解明が重要な課題でした。

打ち上げ後、2009年2月19日には最初のデータが送信され、観測活動は順調に進んでいるように見えました。同年7月5日には、コロナス・フォトンに搭載されたTESIS望遠鏡が、その年最大規模となる太陽フレアを観測しました。このフレアは、6時7分から6時18分（GST）までの11分間続き、X線の強度はC2.7等級と測定されました。これは、2008年3月25日に観測されたものと同規模のフレアでした。

しかし、打ち上げから約6ヶ月後の最初の食の時期に、電源系に深刻な問題が発生しました。同年12月1日には衛星との通信が途絶え、復旧作業を試みたものの、12月29日に太陽電池が一時的に電力を起こし通信が回復しただけで、結局、衛星は運用不能となりました。2010年4月18日には、衛星の設計者から「衛星はほぼ確実に失われた」との発表がありました。

コロナス・フォトンは、1994年と2001年にそれぞれ打ち上げられたコロナスFとコロナスIの後継機として開発されました。このプロジェクトは、ロシア連邦宇宙局を含む3つの機関によって運営されました。衛星本体は、気象衛星メテオールMの衛星バスを基に製造され、インドのレントゲン望遠鏡（RT-2/S、RT-2/G、RT-2/CZT）も同時に軌道に投入されました。

インド宇宙研究機関が運用するこれらのレントゲン望遠鏡は、低エネルギーガンマ線画像を撮影するもので、太陽の光度的および分光学的研究に活用されました。コロナス・フォトン自体には、太陽中性子や広範囲の周波数の太陽放射を記録する8つの機器と、光子や電子などの荷電粒子を検出する2つの機器、合計12個の観測機器が搭載されていました。

コロナス・フォトンは、短期間でのミッション終了となってしまいましたが、観測データは太陽物理学の研究に貢献しました。この衛星の経験は、今後の太陽観測ミッションの設計や運用に貴重な教訓を与えたと言えるでしょう。

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