コロムナ

ロシア古都コロムナ：歴史と文化、そして現代産業の融合

モスクワ州南東部、モスクワ川とオカ川の合流点に位置するコロムナは、豊かな歴史を誇る古都です。モスクワから約105km、鉄道や高速道路でアクセス可能で、人口は約13万5千人（2021年）の都市です。都市名の由来は諸説ありますが、「深い沼地」という説も存在します。

古都の歩み：要塞から交易都市へ

コロムナの起源は1177年、リャザン公国の一都市として遡ります。1300年にモスクワ大公国の支配下となると、急速な発展を遂げました。16世紀頃までは、東方のタタール人の侵入を防ぐ重要な要塞都市として機能し、幾度もタタール人の襲撃を受けました。モスクワ大公はタタール人に対する防衛線である「逆茂木線」を築き、コロムナはその重要な拠点の一つとなりました。現在も残る石造りのクレムリンは、1525年から1531年にかけて建設されたものです。

その後、コロムナは国境防衛の役割から、交易路上の都市へとその性格を変えていきます。1775年にはエカチェリーナ2世が訪れ、1778年から新古典主義に基づいた都市計画による大規模な都市改造が行われました。1862年にはモスクワとリャザンを結ぶ鉄道が開通し、コロムナは産業都市としての発展を加速させます。機関車工場や機械工場、公立病院などが次々と建設され、1864年にはオカ川を渡る鉄道橋が完成、鉄道はリャザンまで延伸されました。1905年のロシア第一革命においても、コロムナでは労働者ストライキが発生しました。

現代コロムナ：産業と研究の拠点

現代のコロムナは、モスクワ州内における重要な産業・研究都市として発展を続けています。教育大学や砲兵大学などの高等教育機関、機械工場、建材工場、食品工場などが立地し、特にディーゼル機関車工場は都市経済を支える重要な存在です。オカ川とモスクワ川、そしてヴォルガ川水系という水路の利点を活かし、河港としても、鉄道貨物輸送拠点としても重要な役割を果たしています。市内には路面電車も運行されています。

歴史と文化の宝庫：観光地としての魅力

コロムナは歴史的建造物が豊富に残る観光地でもあります。16世紀に築かれたクレムリンの城壁は比較的良好な状態で保存されており、主要な観光名所となっています。クレムリン内には17世紀以降に建てられたウスペンスカヤ大聖堂（生神女就寝大聖堂）をはじめ、多くの歴史的建造物が存在します。市街地にも17世紀以降の聖堂や、14世紀と17世紀に開設された二つの修道院など、歴史的建造物が数多く残されています。さらに、19世紀初頭に築かれた住宅や商家の街並みも、当時の様子を今に伝えています。地元発祥の伝統菓子「パスチラ」も観光客に人気です。

国際交流：姉妹都市

コロムナは、チェコ、ベラルーシ、ラトビア、アメリカ合衆国など、世界各地の都市と姉妹都市提携を結んでいます。これらの交流を通して、コロムナは国際的な広がりを持つ都市となっています。

コロムナは、歴史と現代が調和した、魅力的な都市と言えるでしょう。

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