コロンディ・マルギット

コロンディ・マルギット：ハンガリー体操界のパイオニア、その栄光と激動の人生

コロンディ・マルギット（Korondi Margit, 1932年6月24日 - 2022年3月6日）は、ハンガリーの元女子体操競技選手であり、同国体操界における草分け的存在です。彼女は、1952年のヘルシンキ五輪と1956年のメルボルン五輪に出場し、合計8個（金2個、銀2個、銅4個）のメダルを獲得。特に、ヘルシンキ五輪の段違い平行棒では、ハンガリー女子体操選手として初の金メダルをもたらし、その名を歴史に刻みました。

幼少期から才能開花、ハンガリー代表へ

コロンディは、現在のスロベニア共和国にあたるツェリェで生まれました。父が体操コーチだった影響で、幼い頃から体操に親しみ、第二次世界大戦後の1946年から本格的なトレーニングを開始。1948年にはヴァシャシュスポーツクラブに加入し、ジュニア選手権で優勝。翌年にはハンガリー選手権も制覇し、1950年にハンガリー代表チームのメンバーに選出されました。1951年には、世界青年学生祭典で金メダル（ゆか）、銀メダル（団体総合）、銅メダル（個人総合）を獲得し、その美貌も相まって、ハンガリースポーツ界の象徴的な存在として国民的な人気を集めました。

ヘルシンキ五輪での輝かしい成功、そして苦難

1952年、コロンディはヘルシンキ五輪にハンガリー代表として出場。段違い平行棒での金メダルの他、団体総合での銀メダル、手具体操団体での銅メダル獲得に貢献し、個人総合、平均台、ゆかでも銅メダルを獲得する大活躍を見せました。しかし、その直後の競技大会で背中に重傷を負い、3年間の休養を余儀なくされます。怪我からの復帰後、1956年のメルボルン五輪に出場し、手具体操団体での金メダル、団体総合での銀メダル獲得に貢献しました。

ハンガリー動乱、そしてアメリカへ

メルボルン五輪開催中、ハンガリーではソビエト連邦軍の侵攻（ハンガリー動乱）が起こりました。コロンディは、多くのハンガリー代表選手とともに帰国を断念し、アメリカへ亡命。スポーツ雑誌のツアーに参加した後、ヒューストンに移住し、競泳とフィットネスのインストラクターとして新たな生活をスタートさせました。その後、テキサス州で著名なフィットネス専門家として知られるようになります。私生活では、最初の夫であるボクシングの五輪選手と離婚後、元水球選手と再婚し、2男1女をもうけました。

指導者としての活躍、そして晩年

1962年からはロサンゼルスに居を構え、カリフォルニア大学で体操競技とモダンダンスの講師を務める傍ら、大学チームのコーチとしても活躍しました。メルボルン五輪で共に金メダルを獲得したチームメイトたちとは、高齢になっても親交が続いていました。2022年3月6日、コロンディ・マルギットは生涯を閉じましたが、彼女の功績はハンガリー体操界の歴史に永遠に刻まれています。

コロンディ・マルギットは、選手としてだけでなく、指導者としても多くの人々に影響を与え、ハンガリー体操界の発展に大きく貢献しました。彼女の波瀾万丈な人生は、困難に立ち向かい、常に前向きに生きる勇気を私たちに与えてくれます。

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