ツェリェ

ツェリェ：歴史と文化が織りなすスロベニアの古都

ツェリェは、スロベニア東部に位置する重要な都市であり、その歴史は古代にまで遡ります。サヴィニャ川沿いに発展したこの都市は、スロベニアで3番目に大きく、11の特別市の一つです。

古代からの歴史

ツェリェ地域には、ハルシュタット文明時代に最初の定住地が形成されました。ケルト時代には「ケレア」として知られ、この地でケルト人が硬貨を鋳造していました。ローマ帝国に併合された後、紀元46年には特権を与えられ、「キウィタス・ケレイア」として知られるようになります。後にクラウディウス帝の時代には「クラウディア・ケレイア」というムニキピウム（自治都市）へと発展しました。当時の記録によると、ツェリェは裕福で人口が密集しており、城壁や塔、大理石の邸宅、広場が整備された難攻不落の都市でした。また、「第二のトロイ」とも呼ばれ、ローマ帝国内でも繁栄した都市の一つであり、マルス神殿が有名でした。ローマ街道が通り、アクイレイアやパンノニアへと続いていました。320年頃には、コンスタンティヌス1世の時代にアクイレイアに併合されました。

中世の発展

5世紀から6世紀にかけての民族大移動時代には、スラヴ人によって略奪されましたが、中世初期に再建されました。1122年から1137年にかけてのアドモントの年代記には、「ツィリエ」という名前で初めて記録されました。1341年から1456年には、ツェリェ伯の本拠地となり、14世紀初頭には市場特権都市となりました。1451年にはツェリェ伯フリードリヒ2世から特権を与えられました。しかし、1456年にツェリェ伯家が断絶すると、ツェリェ伯領はハプスブルク家に継承され、シュタイアーマルク公国に組み込まれました。1473年には市役所と防衛用の堀が築かれました。宗教改革の時代には、多くの地元貴族がプロテスタントに改宗しましたが、対抗改革時代には再びカトリックに改宗しました。

近代以降

ナポレオン戦争中、ツェリェはオーストリア帝国の一部となり、1867年にはオーストリア＝ハンガリー帝国の一部となりました。1846年にはウィーン＝トリエステ間の南部鉄道が開通し、1895年にはツェリェ高等学校でスロベニア語が教えられるようになりました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、ツェリェは反スロベニアのドイツ愛国主義の中心地となり、1910年の調査では人口の66.8%がドイツ人でした。1906年にはドイツ文化センターが建設されましたが、これは現在のツェリェ・ホールです。1902年には市内に電話が開通し、1913年には電気が通りました。

第一次世界大戦後、オーストリア＝ハンガリー帝国が崩壊し、ツェリェはセルブ＝クロアート＝スロヴェーヌ王国（後のユーゴスラビア王国）の一部となりました。この時代には急速な工業化と人口増加を経験しました。

第二次世界大戦の悲劇

1941年、ツェリェはナチス・ドイツに占領され、ゲシュタポやSS隊長ヒムラーが視察に訪れました。戦争中、重要な通信ラインと軍事施設があったため、連合国軍の空爆を受け、国立ホールは大きな損害を受けました。戦争による犠牲は大きく、戦前の人口20,000人に対し、575人が死亡し、1500人以上が追放されたり連れ去られたりしました。また、多くの市民が投獄され、約600人の子供たちがゲルマン化のために連れ去られました。戦後、残っていたドイツ語話者はドイツ人追放でツェリェを追われました。

戦後の混乱と再建

戦後、共産主義政府は、ドイツ軍が掘った対戦車壕を、ドイツ協力者や反共産主義者などの集団墓地として利用しました。ユーゴスラビア人民軍によって80,000人以上が処刑され、ツェリェ近郊のテハリェにあった強制収容所では、5000人ほどのスロベニア人が裁判なしに殺害されました。その後、証拠隠滅のためにダムが建設され、虐殺の事実は長らく隠蔽されました。1991年、スロベニア政府はテハリェの犠牲者の記念碑を建てることを決定しました。1991年には十日間戦争を経て、ツェリェは独立したスロベニアの一部となりました。2006年にはローマ教皇ベネディクト16世によってツェリェ司教座が新設されました。

ツェリェの現在と周辺

ツェリェ周辺の平野ではホップの栽培が盛んで、南にあるラシュコはビール生産で知られています。ツェリェの紋章は、ツェリェ伯の紋章を基礎としており、スロベニアの国章にも採用されています。

著名な出身者

ツェリェ出身の著名人には、スロベニア第3代大統領のヤネス・ドルノウシェク、バスケットボール選手のベイノ・ウードリック、イラストレーターのリラ・プラップなどがいます。

姉妹都市

ツェリェは、ドイツのジンゲンやグレーヴェンブローホ、クロアチアのスラヴォンスキ・ブロド、ボスニア・ヘルツェゴビナのドボイなど、多くの都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ギャラリー

(ギャラリーに関する情報があればここに追記)

ツェリェは、歴史と文化が豊かに融合した、スロベニアの重要な都市です。その歴史的な変遷と多様な文化が、訪れる人々を魅了し続けています。

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