段違い平行棒

段違い平行棒

段違い平行棒は、女子体操競技における花形種目の一つであり、その名の通り高さの異なる2本の平行棒を使用して行われます。男子の鉄棒に相当する種目として位置づけられていますが、バー間の移動があることで、鉄棒にはない独特の魅力と難しさがあります。

器具の特徴

段違い平行棒で使用される器具は、高さが異なる2本の鉄棒で構成されています。低い方のバーは地面から170cm、高い方のバーは250cmの高さに設置されます。2本のバーの間隔は、130cmから180cmの間で自由に調整可能です。

この器具は、男子の平行棒から派生したもので、1936年のベルリンオリンピックで初めて団体競技として導入され、1952年のヘルシンキオリンピックで種目別競技として採用されました。当初、2本のバーの高さの差は80cm程度でしたが、現在までほぼ変わっていません。一方、バー間の距離は、1964年時点では430mmから480mmでしたが、徐々に拡張され、2001年時点の規格では1300mmから1800mmとなっています。また、バーの断面も、かつては男子の平行棒と同様に卵型をしていましたが、楕円形を経て完全な円形へと変更されました。

競技の流れ

段違い平行棒の競技は、女子団体、女子個人総合、そして種目別で行われます。演技は、選手がバーに手をかけた瞬間から始まり、終末技で着地するか、選手が棄権するまで続きます。演技の終了は、終末技の着地動作が完了した時点とみなされ、着地時に静止できずに足を踏み出したり、転倒した場合は減点対象となります。

段違い平行棒の最大の特徴は、演技中に低いバーと高いバーの間を手放し技で移動しながら演技を行う点です。鉄棒では、バーが1本しかないため、手放し技は同一のバーを再び掴むことになりますが、段違い平行棒では、そのバリエーションが非常に豊富です。また、鉄棒では懸垂から後ろ振り上がりなどで演技が開始されるのに対し、段違い平行棒では助走からロイター板を使用してバーに飛びつき、その勢いで最初から車輪を開始するなど、よりダイナミックな演技が展開されます。

技の種類と採点

段違い平行棒の技は、非常に多岐にわたりますが、大きく以下の5つの系統に分類できます。

懸垂振動技: 車輪など、鉄棒を軸に回転する技
鉄棒に近い技: シュタルダーなど、鉄棒に近い位置で行われる技で、基本的には懸垂振動技の一種
手放し技: 鉄棒から手を離して実施する技。鉄棒種目のものが流用されることが多い
移動技: 段違い平行棒ならではの、バー間を行き来する技。広義には手放し技に含まれる
終末技: バーから降り、着地する技

これらの技には、それぞれ難易度が設定されており、演技の構成と実施によって採点が行われます。美しさ、正確性、そしてダイナミズムが評価の対象となります。

禁止行為と減点

段違い平行棒の演技において、以下の行為は禁止されており、違反した場合は減点、または0点となることがあります。

器具からの落下: バーから落下した場合、減点となります。
静止: 演技中に静止してはならない。減点となります。
着地違反: 故意に足以外で着地すると0点となります。

段違い平行棒の位置づけ

段違い平行棒は、女子体操において、男子の鉄棒に相当する種目として位置づけられています。女子の4種目の中で最もダイナミックな演技が展開される種目であり、鉄棒と同様に見た目の派手さがあります。しかしながら、バー間の移動があるため、鉄棒にはない優雅さを演出するものとして、採点傾向も芸術的な演技実施への配分が大きくなっています。段違い平行棒は、力強さと美しさを兼ね備えた、女子体操ならではの種目と言えるでしょう。

もう一度検索