コロンナの祭壇画 (ラファエロ)

コロンナの祭壇画

『コロンナの祭壇画』、正式には『即位した聖母子と諸聖人』は、イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロ・サンツィオによって1504年から1505年の間に制作された祭壇画です。この作品は当初、ペルージャにあるフランシスコ会のサンタントニオ・ダ・パドヴァ修道院に設置されていましたが、現在ではニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されています。この名前は1689年に祭壇画を購入したローマの貴族コロンナ家にちなんで付けられました。

制作経緯

1478年、同修道院は修道女に公開されている教会のための絵画の発注を受けることになり、その運営資金を遺贈によって手に入れることができました。この資金からラファエロの作品が発注されたのです。芸術家は、修道女たちの要望に応じて幼児のキリストを衣服を着た姿で描くことにしました。これにより、ラファエロは作品の主要パネルとなる『即位した聖母子と諸聖人』、その上部に配置されるルネットの『祝福する父なる神と二天使』、そして3つのプレデッラとして『ゲッセマネの祈り』、『カルヴァリオへの道』、『ピエタ』を制作しました。また、それに隣接する2枚の板絵『アッシジの聖フランチェスコ』と『パドヴァの聖アントニウス』も手掛けました。

作品の詳細

ラファエロの主要パネルには、玉座に座った聖母子が描かれています。聖母マリアは金の刺繍が施された衣服をまとい、膝の上には幼児のキリストが立ち、洗礼者聖ヨハネを祝福しています。その周囲に集う4人の聖人、聖ペトロ、聖パウロ、聖カタリナ、そして不詳の女性聖人は、彼らの背後に広がる風景との対比で際立っています。また、上部のルネットには、祝福する父なる神と2人の天使、セラフィムが描かれています。この構図からは、ラファエロの初期作品に見られるペルジーノやピントゥリッキオの影響が伺えます。

影響と後世への波及

本作品は、同時代のウンブリア地方の画家たちに強い影響を与えました。例えば、フランチェスコ・ダ・チッタ・ディ・カステッロやシニバルド・イービの作品には、ラファエロのスタイルが見受けられ、彼の影響が色濃く残っています。特に、衣服の描写や構図における工夫は、ラファエロの技量を示すものとして後の画家たちに受け継がれていきました。

現在の所蔵と来歴

この祭壇画は1677年にペルージャの画商によって購入され、その後コロンナ家の所有となりました。その後、ナポリに移された本作品は、最終的にアメリカの富豪ジョン・ピアポント・モルガンの手に渡り、彼の死後にメトロポリタン美術館へ寄贈されました。プレデッラの作品群は、それぞれ別の所蔵先に残されていますが、いずれも別の美術館でその姿を見ることができます。

このように、『コロンナの祭壇画』はラファエロの芸術的成果の一つとして、ルネサンス期の絵画における重要な位置を占めています。彼の技術とスタイルは、今なお多くの人々によって賞賛されており、時代を超えて影響を与え続けています。

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