コンキスタドールシエロ

コンキスタドールシエロ：天空の征服者、そしてその血脈

コンキスタドールシエロ（1979年 - 2002年）は、アメリカで活躍した競走馬にして種牡馬です。その名にふさわしく、数々の競走で圧倒的な強さを見せつけました。名種牡馬ミスタープロスペクターの産駒として、初期の代表例の一つに数えられます。スペイン語で「天空の征服者」を意味するこの馬名は、その後の華々しい競走生活を予感させるものでした。

1981年6月、サラトガスペシャルステークスで重賞初勝利を飾ると、勢いに乗って活躍を続けます。しかし、その後、骨折による休養を余儀なくされます。

1982年、復帰後は一般競走で勝利を収め、見事復活を遂げました。しかし、再び故障に見舞われ、ケンタッキーダービーへの出場は叶いませんでした。それでも諦めずに走り続け、5月の一般競走で見事な勝利を収めると、続くメトロポリタンハンデキャップでは1600mをレコードタイムで圧勝。古馬との初対戦で、その実力を遺憾なく発揮しました。

さらに、驚異的な連闘でベルモントステークスに挑戦。1600mのG1をレコード勝ちした直後、2400mのG1、しかも三冠レースに挑むという常識外のローテーションでしたが、ケンタッキーダービー馬ガトデルソルに14馬身差をつける圧勝劇を演じ、全米を震撼させました。

その後もG2、G3を連勝し、シンジケートも結成されるなど、まさに全米を代表するスーパーホースとなりました。しかし、トラヴァーズステークスで3着に敗れた後、脚部不安により引退。年末にはエクリプス賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬に輝きました。

種牡馬としては、マーケトリーなど複数のG1競走優勝馬を輩出するなど一定の成功を収めました。しかし、当初の期待には届かず、日本では直仔の重賞勝ち馬はいませんでしたが、ツルマルツヨシやゼネラリストといった重賞馬の父方の父（ブルードメアサイアー）として、また孫世代にはエイシンチャンプ（ミシエロ産駒）のような活躍馬も輩出しました。

2002年12月17日、蹄葉炎による合併症のため、安楽死の処分を受けました。その短い生涯でしたが、コンキスタドールシエロはアメリカの競馬史に大きな足跡を残しました。現在でも、その血統はマーケトリーの仔であるアータックスやスクワートルスクワートといったブリーダーズカップ・スプリント優勝馬を通じて、種牡馬として後世に受け継がれています。

コンキスタドールシエロの血統背景には、祖母タミーズターンが日本に輸入されたという歴史もあります。この馬の活躍と、その血脈が繋がる未来に、私たちは大きな期待を寄せることができるでしょう。

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