コンコルダート

コンコルダートについての詳細な解説

コンコルダート（独: Konkordat, 仏: concordat）は、カトリック教会のローマ教皇と国家との間で結ばれる条約であり、国際法の形式に沿っています。この条約は政教条約や協約とも呼ばれ、これはラテン語の「コンコルダトゥム」に由来し「合意」「協約」「協定」という意味を持ちます。ここでは、コンコルダートの歴史、有名な事例、そして影響について詳しく探ります。

歴史的背景

コンコルダートの起源は、教会と国家が聖職叙任権を巡って争っていた時期に遡ります。この争いは「叙任権闘争」として知られ、イギリスのベック条約（1107年）やヴォルムス協約（1122年）がその初期の実例です。特にヴォルムス協約では、神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世と教皇カリストゥス2世の間で合意がなされ、皇帝が聖職叙任権を放棄する代わりに教皇が司教の選出に皇帝が関与することを許可しました。

その後、中世を通じて数多くの政教条約が締結され、1418年にはスペイン、フランス、ドイツ、イギリスなどの国々との間で聖職者の給与に課税権を認める合意が成立しました。1418年にコンコルダートという用語が初めて使用され、その後1500年代以降、特にフランス王国とローマ教皇庁との間で多くの合意が結ばれ、国家教会主義の実現が試みられました。

フランス革命と1801年の協約

フランス革命によって国が世俗化され、カトリック教会の財産が没収された結果として、聖職者には国家からの給与が支払われるようになりました。この状況は、1790年に成立した聖職者民事基本法によって法的に裏付けられました。しかし、聖職者は人民によって選任されるようになり、教会と国家の対立が生じました。この対立はヴァンデの反乱などの騒乱へと発展しました。

その後、ローマ教皇とナポレオンの間で合意された1801年のコンコルダートは、教皇がナポレオンの政府を承認する一方、聖職者の国家への忠誠を求めるものでした。この協約が成立したことで、フランスのカトリック教会は国家の一部として再構築され、聖職者は実質的な公務員として扱われることになりました。国教とは言えないが、「フランス人の最大多数の宗教」としての位置を確保しました。

19世紀および20世紀の協約

19世紀以降、近代国家の成立に伴い、国家が教会の存在を認めながらも、教会を制限下に置こうとする動きが強まりました。1801年の協約はその後の多くの協約の基準となり、ドイツ、バイエルン、プロイセン、スイス、ポーランドなどの国々との間でも政教条約が結ばれていきました。

さらに20世紀に入ると、第一次世界大戦後に結ばれる政教条約は現代的な内容を含むようになります。最も著名なのは、1929年にピウス11世とムッソリーニの間で結ばれたラテラノ条約で、これがバチカン市国の成立につながりました。また、1933年にはナチス・ドイツとの間でライヒスコンコルダートが締結され、この協約はバチカンがナチズムを承認したとする議論を生み出しました。

結論

コンコルダートはカトリック教会と国家との関係を規定する重要な制度であり、その歴史は教会と国家の力関係を反映しています。近代国家の成立とともに、これらの協約によって国家の権利と教会の役割が再確認され、今日の宗教と政治の関係にも影響を与えています。

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