ライヒスコンコルダート

ライヒスコンコルダートについての詳細

ライヒスコンコルダート（ドイツ語: Reichskonkordat）は、1933年7月20日にドイツとバチカンの間で交わされた政教条約であり、同年9月10日に発効しました。この条約は、ドイツ国内におけるカトリック教会の権利と存在を認めるものでした。以下に、その背景や経緯、条約の内容などを詳しく解説します。

背景の詳細

ドイツ皇帝の時代には、プロテスタントが国教とされる一方で、カトリック教徒の自由は非常に制約されていました。この状況を改善するため、バチカンは国内の教会の権利を確立する必要が生じ、ヴァイマル共和政政府もまた、教会との合意を得ることで政権の安定を図ろうとしていました。1920年代初頭からの交渉は長期化し、1925年にはバイエルン・コンコルダートが締結されました。

その後も交渉は続き、プロイセンやドイツ全国との間での政教条約締結が模索されましたが、政府の不安定さやその他の要因から進展は難航していました。このような状況下で、ナチスが権力を掌握すると、政府と教会の関係はさらに複雑さを増していきます。

ナチスとの締結交渉

ナチスのイデオロギーはカトリック教義とは大きく対立しており、当初は教会への攻撃が頻発しました。1933年1月のナチス政権成立以降、バチカンの対応が注目されました。ヒトラーを賞賛する声もありましたが、カトリック教会側はナチ党への加入を教徒に禁止するなどの動きがありました。その一方で、ナチ党政府は教会との関係を改善し、条約締結を急ぐようになります。

この交渉には、当時の中央党の副首相フランツ・フォン・パーペンが担当し、彼は後に教皇ピウス11世との交渉を進め、1933年7月20日に条約締結が発表されました。

条約の内容

ライヒスコンコルダートでは、カトリック教会の存在が法的に認められ、聖職者の人事についても教会の同意が必要とされることが明記されました。また、聖職者が特定の政党に参加することを禁止する条項があり、これにより中央党の解散を促す動きが見られました。これに対して、中央党の支持者からは批判の声も上がりました。

締結後の課題

ナチスはこの条約の締結を利用し、「バチカンがナチズムを支持した」という宣伝を行いましたが、実際にはその後もカトリック教会への圧力が続いていました。ピウス11世は、1937年にその状況を非難する回勅『ミット・ブレネンダー・ゾルゲ』を発表しましたが、条約自体は有効のままでした。

その後も条約の効力を巡る論争は続き、1954年にはライヒスコンコルダートが無効であるとの訴えが行われました。最終的に1957年、連邦憲法裁判所はこの条約が有効であるとの判断を示しました。

結論

ライヒスコンコルダートは、政治と宗教の複雑な関係を示す重要な歴史的出来事です。その結論と影響は、単なる数十年前のことにとどまらず、今日においても政策や教育、社会倫理にまで及んでいると言えるでしょう。

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