コンソレーション (リスト)

『コンソレーション』（Consolations）S.172は、フランツ・リストが1849年から1850年にかけて作曲したピアノ作品集です。日本語では「慰め」と訳され、一般的には英語名で知られていますが、原題はフランス語で「Consolations, Six Pensées poétiques（慰め、6つの詩的な思考）」です。

この作品集は、その名の通り、落ち着いた曲想が特徴です。リストの他の作品、例えば『超絶技巧練習曲』のような高度な技術を必要とするものとは異なり、比較的平易な技術でも演奏効果が期待できるため、多くの人に親しまれています。上品で情感豊かな音楽は、聴く人の心を優しく包み込みます。

『コンソレーション』は、ザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ大公妃マリア・パヴロヴナ（ロシア皇帝アレクサンドル1世の妹）に献呈されました。マリア・パヴロヴナは、リストの女性関係を支援した人物としても知られています。

構成

全6曲からなる『コンソレーション』は、それぞれの曲が異なる個性を持ち、リストの音楽的な才能を余すところなく示しています。

第1番 ホ長調、Andante con moto
静かなコラール風の小品で、シンコペーションが緩やかに流れるように奏でられます。穏やかな旋律が、心の安らぎをもたらします。

第2番 ホ長調、Un poco più mosso
伸びやかな上昇音型が特徴的で、自由な変奏が繰り広げられます。流れるような旋律が、希望に満ちた感情を表現しています。

第3番 変ニ長調、Lento placido
全曲中最も有名で、「ため息」に似た左手のアルペジオに乗せて、右手が優雅な三度の和声を奏でます。美しい旋律が、聴く人の心に深く響きます。

第4番 変ニ長調、Quasi Adagio
第1曲と同様にコラール風の小品で、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。穏やかな旋律が、心を落ち着かせます。

第5番 ホ長調、Andantino
つぶやくような低音の付点リズムが印象的で、物憂げな雰囲気を醸し出しています。瞑想的な旋律が、深い感情を表現しています。

第6番 ホ長調、Allegretto sempre cantabile
マリア・パヴロヴナが作曲した主題に基づいているとされており、優雅で美しい旋律が特徴です。歌うような旋律が、心地よい感情を呼び起こします。

『コンソレーション』は、リストの作品の中でも特に親しみやすく、多くの人々に愛されています。その美しい旋律と、心の奥底に響く情感は、聴く人の心を癒し、慰めてくれるでしょう。

コンソレーション S.172の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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