コンチェルト・ケルン

コンチェルト・ケルン（Concerto Köln）

コンチェルト・ケルンは、1985年にドイツ西部の都市ケルンで設立された、バロック期から初期ロマン派に至る音楽を古楽器を用いて演奏するオーケストラです。設立当初から、演奏家たちの自主性を重視した独自の運営スタイルを確立しています。

楽団の特徴と活動

このオーケストラの最も顕著な特徴は、特定の「常任指揮者」を置いていない点にあります。これは、個々の楽員が高い音楽的識見と演奏技術を持ち寄り、集団として音楽を作り上げていくという、コンチェルト・ケルンの理念に基づいています。楽団のメンバーは、演奏会のプログラム選定からリハーサル、そして楽団運営に関わる様々な意思決定に至るまで、主体的に参加しています。この水平的な関係性から生まれるアンサンブルは、彼らの演奏に独特の活気と柔軟性をもたらしています。

楽団の芸術的な方向性については、2005年からは楽団の一員であるフルート奏者のマルティン・ザンドホフ氏が芸術監督として務めています。彼は、コンチェルト・ケルンが追求する古楽演奏の質の維持向上と、新たなレパートリーや演奏スタイルの探求をサポートしています。楽員たちの情熱と芸術監督の統括が融合し、常に挑戦的かつ質の高い演奏活動を展開しています。

主要な録音活動

コンチェルト・ケルンは、これまでに数多くの優れた録音を発表し、国際的な評価を不動のものとしています。彼らのディスコグラフィーは非常に多岐にわたります。

アントニオ・ヴィヴァルディやヨハン・セバスチャン・バッハといったバロック音楽の傑作選。
フェリックス・メンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲」全集では、初期ロマン派作品の古楽器による解釈を示しました。
オペラ録音にも力を入れており、特に指揮者ルネ・ヤーコプス氏との共同作業は重要です。ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルやクリストフ・ヴィリバルト・グルックのオペラ、そしてヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのオペラ・ブッファの最高傑作の一つとされる「フィガロの結婚」などが高く評価されています。
鍵盤楽器奏者のアンドレアス・シュタイアー氏をフォルテピアノ独奏に迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲集は、当時の楽器の響きと様式感を現代に伝えています。

これらの録音は、コンチェルト・ケルンが持つレパートリーの広さと、各時代の様式に対する深い理解を証明しています。彼らは、歴史的な演奏習慣に基づきながらも、常に新鮮な息吹を音楽に吹き込むことを目指しており、その探求心と質の高い演奏は、世界中の聴衆から支持されています。

コンチェルト・ケルンは、自主的な運営体制と古楽器を用いた演奏への深い情熱をもって、古楽界において独自の存在感を示し続けています。彼らの活動は、過去の音楽遺産に光を当てると同時に、未来へとその響きを繋ぐ重要な役割を果たしています。

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