コンテッサ・エンテッリーナ

イタリア共和国シチリア自治州のパレルモ県に位置する基礎自治体（コムーネ）、コンテッサ・エンテッリーナは、約1,700人の住民が暮らす小さな町です。この地はイタリア語でコンテッサ・エンテッリーナと呼ばれますが、地元ではアルバニア語系の名称であるクンディサ（Kundisa）としても知られています。その最も特徴的な側面のひとつは、古くから続くアルバニア系住民、すなわちアルバレシュ（Arbëreshë）と呼ばれるコミュニティが存在していることです。

地理的には、コンテッサ・エンテッリーナはシチリア島の西部に位置し、パレルモ県の南西部に広がっています。県都パレルモからは南南西方向に約46キロメートルの距離にあります。周囲を複数の自治体と接しており、パレルモ県内のビザックイーノ、カンポフィオリート、コルレオーネ、ジュリアーナ、モンレアーレ、ロッカメーナと隣接しています。さらに、県境を越えて、トラーパニ県に属するポッジョレアーレやサラパルータ、アグリジェント県に属するサンブーカ・ディ・シチーリアやサンタ・マルゲリータ・ディ・ベーリチェとも接しており、地理的に多様な地域との接点を持っています。

行政区分としては、コンテッサ・エンテッリーナは単一の中心市街地だけでなく、いくつかの「分離集落（フラツィオーネ）」から成り立っています。これらの集落はコムーネを構成する重要な要素であり、中にはイタリア語名とアルバニア語名が併記されているものも存在します。例えば、Piano Cavaliere（アルバニア語名 Fusha e Kavalerit）、Borgo Cozzo Finocchio（Rahji i Mbërajit）、Castagnola（Kastanjolla）、Roccella（Rriçelja）、Pizzillo（Pucili）、Santa Maria del Bosco（Shën Mëria e Boshit）といった集落が挙げられます。これらの名称の併記は、この地に深く根ざした文化的な背景を示唆しています。

社会面におけるコンテッサ・エンテッリーナの特筆すべき点は、先述したアルバレシュ人のコミュニティの存在です。アルバレシュ人は、歴史的な経緯からバルカン半島、特にアルバニア周辺地域からシチリア島に移住してきた人々の末裔です。彼らは、独自の言語であるアルバレシュ語や、東方典礼のカトリック教会に属するなど、独自の文化や伝統を守り続けています。コンテッサ・エンテッリーナは、パレルモ近郊のサンタ・クリスティーナ・ジェーラやピアーナ・デッリ・アルバネージといった他の自治体と同様に、シチリアにおける主要なアルバレシュ人居住地の一つとして認識されています。これらのコミュニティは、シチリア島の文化的多様性を豊かにする存在であり、彼らの歴史や伝統は現代においても大切に受け継がれています。特に、町や分離集落の名称にアルバニア語系の響きが残っていることは、この地域におけるアルバレシュ文化の継続的な影響を示しています。

小規模ながらも、コンテッサ・エンテッリーナは地理的な特徴と、特にアルバレシュ人コミュニティという独自の文化的側面を持つシチリアの町です。パレルモからの距離や周辺自治体との広範な繋がりを持ちながら、その内部には独自の歴史と文化が息づいています。この町のアイデンティティは、その住民構成と深く結びついており、アルバレシュの伝統が今なお生き続ける貴重な場所と言えるでしょう。

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