コント55号笑ってたまるか

コント55号笑ってたまるか

『コント55号笑ってたまるか』は、1971年にNETテレビ（現在のテレビ朝日）系列で放送されたバラエティ番組です。当時絶大な人気を誇っていたコメディアン、コント55号の冠番組として企画・制作されました。

番組は1971年4月7日に放送を開始し、同年9月29日まで、毎週水曜日の19時30分から20時00分までの30分枠で放送されました。この時間帯は、多くの家庭でテレビを囲むゴールデンタイムの始まりであり、人気コンビであるコント55号の番組として、視聴者の注目を集めました。

この番組の最大の特徴、そしてそれまでのコント55号の冠番組との決定的な違いは、その制作スタイルにありました。従来の彼らの番組ではスタジオ収録が中心でしたが、『笑ってたまるか』では、全ての回が屋外でのロケーション撮影によって構成されていたのです。スタジオセットから飛び出し、街中や特定の場所に赴いて番組を作るという形式は、当時のテレビ番組としては非常に意欲的な試みであったと言えます。

コント55号を組む萩本欽一さんと坂上二郎さんが向かったのは、人々の生活が息づく身近な空間でした。例えば、多くの家族が暮らす集合住宅である団地、あるいは地域住民が集まる憩いの場である銭湯などが、彼らの主な舞台となりました。そうした日常的な場所で、彼らは様々なユニークな企画を実施しました。

番組内で具体的に行われた企画としては、一般参加者と思われる人々を招いて彼らの素朴な感性や個性を引き出す「作文大会」や、外国人との交流を通じて言葉や文化の違いから生まれるユーモアをテーマにした「外国人コント大会」などが挙げられます。これらの企画は、ロケ形式ならではの予測不能な展開や、一般の人々との自然な掛け合いを通じて、スタジオコントとはまた異なるライブ感や面白さを生み出しました。萩本さんと坂上さんの瞬発力やアドリブ力が、こうしたロケーションでの企画で存分に発揮されたことでしょう。

『コント55号笑ってたまるか』は、直前に放送されていた『スパルタ!55号』の後継番組として位置づけられます。NETテレビは、1969年放送開始の『ウォー!コント55号』を皮切りに、『やっちゃおう!コント55号』、『コント55号60分一本勝負』、『スパルタ!55号』と、約2年3か月にわたって連続してコント55号の冠番組を放送してきました。当時のテレビ界におけるコント55号の影響力の大きさを物語るシリーズでした。

そして、『コント55号笑ってたまるか』は、この一連のNETテレビにおけるコント55号冠番組シリーズの掉尾を飾る作品となりました。番組が1971年9月29日に最終回を迎えたことで、約2年以上にわたってNETテレビの番組編成の一角を占めていたコント55号のレギュラー番組は、一時的に幕を下ろすことになります。

全編ロケという挑戦的なスタイルを採用し、視聴者に新鮮な驚きを提供した『コント55号笑ってたまるか』は、コント55号の活動の歴史においても、そして当時のバラエティ番組の多様化という点においても、記憶されるべき一作と言えるでしょう。短期間の放送ではありましたが、彼らの多才な芸と、テレビにおける新たな表現形式への意欲を示す番組でした。

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