コント55号60分一本勝負

『コント55号60分一本勝負』（コントごじゅうごごうろくじゅっぷんいっぽんしょうぶ）は、1970年4月2日から同年9月24日にかけて、NETテレビ（現：テレビ朝日）が制作し、同系列のテレビ局で放送されていたテレビドラマです。

番組は毎週木曜日の午後8時から午後8時56分までの56分枠で放送され、全26回が制作されました。番組のタイトルからも明らかなように、当時絶大な人気を誇っていたお笑いコンビ、コント55号（萩本欽一、坂上二郎）をメインキャストに据えた、彼らの冠レギュラー番組でした。

本番組の最大の特徴は、その独特な番組形式にありました。「テレビドラマ」というジャンルに分類されながらも、一般的な連続ドラマやシリーズものとは一線を画し、放送回ごとに内容や基本的な設定が全く異なる「週替わり」形式が採用されていました。この都度異なる設定は、メンバーの一人である萩本欽一氏が一人で担当し、自らの手で書き下ろしていました。

当時、テレビ界に彗星のごとく現れ、若者を中心に爆発的な人気を博していたコント55号は、従来の演芸番組の枠にとどまらない、パワフルで予測不能なパフォーマンスで視聴者を魅了していました。彼らの得意とする、動きと勢いを重視した身体を張ったナンセンスコメディは、お茶の間に大きなインパクトを与え、テレビコメディのスタイルを大きく変えつつありました。本番組は、そんな彼らの勢いを最大限に活かすために企画されたものと言えるでしょう。

毎週異なる設定の下で、コント55号の二人が様々な役柄や状況に挑戦し、持ち前の瞬発力やアドリブ、そして磨き抜かれたコントの技術で笑いを生み出しました。萩本欽一氏による設定は、時にシュールで、時に日常の些細な出来事を切り取ったものであったと推測され、コント55号の変幻自在な演技力を引き出しました。

番組が「テレビドラマ」と銘打たれていたのは、単なるコントの連続ではなく、毎回設定されたシチュエーションに基づいて、ある程度の物語性やキャラクター性を伴ったコメディを展開しようとする制作側の意図があったためと考えられます。これは、当時のテレビ番組としては比較的実験的な試みであったと言え、コント55号の革新的な芸風と相まって、新しいコメディ番組の可能性を示唆するものでした。

『コント55号60分一本勝負』は、約半年にわたる放送期間を通じて、コント55号の人気をさらに確固たるものにしました。彼らはこの時期、『ウォー!コント55号』や『やっちゃおう!コント55号』、『スパルタ!55号』、『コント55号笑ってたまるか』など、多数の冠番組を持ち、テレビ界を席巻していました。本番組もその一つとして、彼らの多忙さと人気ぶりを示すエピソードと言えるでしょう。全26回という放送回数は、当時のテレビ番組としては標準的な期間であり、その間に披露された週替わりのコントは、多くの視聴者に鮮烈な印象を残しました。

この番組で培われた週替わり形式や、設定に基づいたコメディ展開のノウハウは、その後の日本のテレビバラエティやコメディ番組にも少なからず影響を与えたと考えられます。

（この記述は、放送当時の資料や一般的な情報に基づいて構成されています。）

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