コンフィダント・絆

舞台『コンフィダント・絆』

三谷幸喜が作・演出を手掛けた舞台『コンフィダント・絆』は、2007年4月7日から5月6日までパルコ劇場で上演されました。19世紀末のパリを舞台に、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーギャン、ジョルジュ・スーラ、エミール・シェフネッケルの4人の画家たちの交友と葛藤を、彼らのモデルとなった女性ルイーズの視点を通して描いています。

あらすじ

19世紀のパリ。ダンスホール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の女給であるルイーズは、貧しい画家たちが共同で借りたアトリエのモデルとして雇われます。アトリエには、点描画で頭角を現し始めたスーラ、美術教師でもあるシェフネッケル、そしてまだ無名のゴッホとゴーギャンがいました。アトリエのリーダー格であるシェフネッケルは、個性的な画家たちを仲間として信じ、献身的に世話を焼いていました。しかし、ゴッホら3人はシェフネッケルの才能を見限っており、アトリエの家賃を分担するだけの存在としてしか見ていませんでした。

ルイーズがアトリエに加わったことで、画家たちは活気づきます。ルイーズはゴッホにヌードを描いてもらいますが、次第にゴーギャンと親しくなっていきます。ゴーギャンは、絵の才能ではゴッホに敵わないことを自覚しており、嫉妬心からルイーズとの関係をゴッホに見せつけ、傷つけようとします。

ある日、ルイーズはロートレックにモデルを依頼されます。画家たちは行かせたくないものの、止められません。しかし、ロートレックはルイーズのヌードを気に入らず、絵を描くことはありませんでした。落胆して戻ったルイーズを、画家たちは精一杯慰めます。スーラはルイーズから、本音を隠していると指摘され、アトリエにいる理由を語ります。スーラは、他の画家たちよりも有名になったことに優越感を抱いていました。そんな中、スーラはゴッホが隠れて描いていた絵を見て、その才能に衝撃を受けます。

スーラの展覧会が企画され、他の画家たちが描いたルイーズの絵を1枚だけ展示できることになります。ゴッホの絵が抜きんでているものの、ルイーズとシェフネッケルはそれを理解できず、ゴーギャンの絵を推します。スーラは嫉妬心から、ゴッホの過去の作品を褒め、現在の画風を否定します。絶望したゴッホはルイーズの絵を切り裂いてしまいます。

画家としての才能がないと批判されたシェフネッケルは、仲間だと信じていた画家たちに裏切られたと感じます。そんな中、ゴッホはパリを離れてアルルへ移住することを告げます。ゴーギャンはゴッホに誘われ、アルルへ行くことを考え、ルイーズも誘いますが、ルイーズはパリを離れませんでした。

数十年後、パリの酒場で老女となったルイーズは、若かりし日々を回想します。画家たちはすでに亡くなっていましたが、ルイーズはあの時、天才画家たちと過ごし、見つめられていた存在だったのです。

キャスト

ジョルジュ・スーラ：中井貴一
ポール・ゴーギャン：寺脇康文
クロード・エミール・シュフネッケル：相島一之
ルイーズ・ブーランジェ：堀内敬子
フィンセント・ファン・ゴッホ：生瀬勝久
作曲・ピアノ演奏：荻野清子

概要

この舞台は、パリの酒場で、老女ルイーズが、かつて貧しい画家だったゴッホ、ゴーギャン、スーラたちのモデルをしていた頃を語るという形式で進行します。画家たちの間、そして画家とルイーズの間に何があったのか？彼らの人間模様が、三谷幸喜ならではのユーモアとペーソスを交えて描かれます。

特に印象的なのは、2幕5場の間を繋ぐ、堀内敬子が歌う「大丈夫ソング」です。この歌は、三谷幸喜が作詞したもので、画家の名前を並べたシンプルな歌詞で構成されています。堀内敬子は、この歌詞を見て「手抜きじゃん」と思ったと語っています。

受賞歴

本作品は、第15回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞したほか、三谷幸喜は本作により、2007年度の読売文学賞・戯曲・シナリオ賞、朝日舞台芸術賞・秋元松代賞、芸術選奨文部科学大臣賞（演劇部門）を受賞しました。ルイーズ役の堀内敬子も、第33回菊田一夫演劇賞及び、第15回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど、高い評価を得ました。

地方公演

2007年5月10日から5月31日まで、イオン化粧品シアターBRAVA!にて地方公演が行われました。

登場人物

フィンセント・ファン・ゴッホ
ポール・ゴーギャン
ジョルジュ・スーラ
エミール・シェフネッケル

外部リンク

公式サイト
WOWOW劇場中継2007年11月23日

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