コンプソグナトゥス

コンプソグナトゥス (Compsognathus)

コンプソグナトゥスは、中生代ジュラ紀後期にヨーロッパで生息していた小型肉食恐竜です。竜盤目の獣脚亜目に位置づけられ、その名は「かわいい」（Comps）と「顎」（gnathus）から由来しています。主にドイツとフランスで化石が発見されています。

形态的特徴と生態

現在知られているコンプソグナトゥスの化石は、小さな幼体と、やや大きめの成体の二つの種類が確認されています。成体の体長は70から140センチメートルで、フランスで見つかった標本は約125センチメートルの大きさとされています。過去には、ミクロラプトルの発見以前は、世界最小の恐竜とされていました。

コンプソグナトゥスは始祖鳥との形態的類似性が指摘されており、現在ではシノサウロプテリクスに近縁であると考えられています。また、当恐竜は羽毛に覆われていたと推測されています。この恐竜の化石は保存状態が良いことから、小型の肉食恐竜としての研究が進められ、始祖鳥とのつながりから恐竜と鳥類の進化の過程において重要視されています。

前肢は特徴的に指が二本ですが、この点については化石の保存状態が悪かったため、実際には異なる構造を持っていた可能性があるとの指摘もあります。また、フランスの個体では前肢が鰭であったと誤って考えられたこともあります。

その骨格は非常に軽量であり、大腿骨よりも脛骨がかなり長いため、走行に優れた形態を持っていました。これにより、時速約17.8メートルでの高速移動が可能であったとも考えられています。成体の腹部からはトカゲの骨格が発見されており、これらの小型爬虫類を主要な食物として捕食していたと推測されています。

系統と分類

コンプソグナトゥスは獣脚類においてティラノサウルスやヴェロキラプトルと同じコエルロサウルス類に分類されますが、他の種に比べて原始的な特徴を持つとされています。C.ロンギペス（C.longipes）が唯一の種であり、かつてはフランスの標本が別種『C.コラレストリス』（C.corallestris）とされたこともありましたが、後に同種と認められました。

ポップカルチャーにおけるコンプソグナトゥス

著名なフィクションとしては、マイケル・クライトンの小説『ジュラシック・パーク』およびその続編『ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-』に登場します。本作では「コンピー」と呼ばれ、草食恐竜の糞を食べる掃除屋として描かれました。映画では、実際には存在しない種「コンプソグナトゥス・トリアシクス」(Compsognathus triassicus)として知られ、集団で自分より大きな獲物を攻撃する姿が描かれています。

コンプソグナトゥスはその特異な特徴と進化の過程を知る上で、恐竜研究において欠かせない存在となっています。

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