コンベルソ

コンベルソについて

コンベルソ（converso）とは、ユダヤ教からキリスト教に改宗した人々を指します。この言葉はスペイン語に由来し、特に15世紀から17世紀にかけてのスペインおよびポルトガルにおいて重要な意味を持つ用語です。コンベルソは、宗教的な変更のみならず、当時の社会や政治にも深く関わっていました。

歴史的背景

ユダヤ人は、歴史的なディアスポラによってヨーロッパ各地に散らばり、南フランスからイベリア半島南岸にかけての地域に集中しました。この地域に住んでいたユダヤ人は、セファルディムと呼ばれ、独自の文化や伝統を育んできました。

特に、12世紀以降のカスティーリャ王国では、セファルディムの持つ政治力や経済力を活用する政策が進められましたが、15世紀後半には、カスティーリャ女王イサベル1世とその夫フェルナンド2世がイスラム教徒の排斥を進める中で、次第にセファルディムへの排斥が強まることとなります。

このような時代背景の下で、ユダヤ人の中には、 キリスト教に改宗し、コンベルソと呼ばれるようになった者が多く存在しました。彼らは、時にはユダヤ人社会から批判を受けながらも、キリスト教に利権を求めるケースが見られました。

コンベルソの多様性

コンベルソの中には、改宗したにもかかわらずユダヤ教の規範を守り続ける人々も多く存在しました。これらの人々は「フダイサンテ」と呼ばれ、特にスペイン異端審問所の厳しい追及を受けることがありました。異端審問所は、カトリック教会が設置した宗教的な組織で、コンベルソを厳しく取り締まりを進めました。特に、初代大審問官のトマス・デ・トルケマーダや、スペイン王国宰相ガスパール・デ・グスマンなどの歴史的人物も、コンベルソ系の可能性があるとされています。

影響を与えた主な人物

コンベルソとして知られる歴史的人物には、以下のような人物がいます:

• - イサーク・アブラバネル：イサベルの財政顧問官。
• - クリストファー・コロンブス：新大陸の発見者であり、彼がコンベルソであったという説がある。
• - ミゲル・デ・セルバンテス：著名な作家であり、『ドン・キホーテ』の著者。
• - フランシスコ・フランコ：スペイン総統であり、祖母がコンベルソ家系出身。

他にも多くの著名な人物がコンベルソの家系にルーツを持ち、スペインの歴史や文化に大きな影響を与えました。

このように、コンベルソは単なる宗教の改宗にとどまらず、歴史的、社会的、文化的な文脈で重要な役割を果たしました。彼らの存在は、当時のユダヤ人社会とキリスト教社会の複雑な関係を映し出しているのです。

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