コートコーポレーション

株式会社コートコーポレーション：ゲイビデオ製作とネットミーム文化への影響

株式会社コートコーポレーションは、1991年に設立された日本のゲイビデオ製作会社です。設立当初からコンスタントに作品をリリースし、多様なジャンルを扱いながら、現在までに200本以上のタイトルを世に送り出しています。

特徴

初期は体育会系の学生が出演する作品が中心でしたが、その後、様々なニーズに応えるため、多くレーベルを立ち上げました。現在では40以上のレーベルを抱え、アスリート系、ジャニーズ系、リーマン系、ガチムチ系、SM系など、幅広いモデルや企画を取り扱っています。ソフトなものからハードなものまで、多様な嗜好に対応した作品を提供しているのが特徴です。

同社は、シチュエーション・ゲイビデオ「Babylon」シリーズも展開しています。また、関連会社として有限会社「蔵建」(KURATATSU)と有限会社「COAT WEST」（大阪）があり、それぞれ独自のブランドで作品をリリースしています。

「真夏の夜の淫夢」とネットミーム文化

コートコーポレーションの作品の中でも特に有名なのが、「Babylon」シリーズの1作である『真夏の夜の淫夢』です。この作品は、2000年代初頭からインターネット上でカルト的な人気を集め、特に第四章「昏睡レイプ！野獣と化した先輩」に登場する「野獣先輩」の台詞は、ネットミームとして広く浸透しました。

2002年頃には、本作の第一章に出演する男優が、当時プロ入りが確実視されていた野球選手に似ているという噂が広まり、大きな話題となりました。その後、「野獣先輩」に注目が集まり、ニコニコ動画を中心に、本作を題材とした動画が多数投稿されるようになりました。

これらの動画は、「淫夢語録」と呼ばれる独特の台詞や音声を用いて制作され、MAD動画やゲーム実況動画など、様々な形で展開されました。「淫夢語録」はインターネットスラングとして定着し、若者を中心に広く使われるようになっています。また、人気アニメやニュースなどに「淫夢」との共通点を見出して楽しむ「問題シリーズ」も生まれ、ネットニュースで取り上げられるなど、社会現象となりました。

「真夏の夜の淫夢」に関連するネットスラングとしては、「微レ存」（「微粒子レベルで存在している」の略）が有名です。この言葉は、女子中高生の間で流行し、「JCJK流行語ランキング」にもランクインしました。

2016年には、8月10日が「野獣の日」として、Twitter上でトレンド入りするなど、元ネタを知らないユーザーまで巻き込む事態となりました。また、ネット配信番組で、タレントが野獣先輩の現在を突き止めようとする企画が持ち上がりましたが、プライバシーの問題から中止となっています。

社会的影響と倫理的課題

日本大学法学部新聞学科専任講師の平井智尚は、『真夏の夜の淫夢』に関連する動画が、特定のコミュニティ以外では言及が避けられてきた理由として、「性的マイノリティを対象としたポルノグラフィであること」「動画の大半が元ネタに関連する人物を笑いものとして扱っていること」を指摘しています。

2023年、コートコーポレーションは公式サイトで、8月10日に関する注意喚起を行いました。会社が定めた記念日ではないこと、聖地巡礼と称した近隣への訪問を控えること、騒音など迷惑行為に対しては法的措置も辞さないことを告知しました。

過去の事件

1995年、同社は男子高校生をゲイビデオに出演させていたとして、職業安定法違反の疑いで社長らが逮捕されています。テレビ出演経験のある女性がスカウトに関わっていたことや、高校教諭が面接を担当していたことなどが報じられました。

株式会社コートコーポレーションは、ゲイビデオ製作というニッチな分野で独自の地位を築き、インターネット文化にも大きな影響を与えました。しかし、その一方で、倫理的な問題やプライバシーの問題など、様々な課題も抱えています。

今後、同社がどのように社会と向き合い、どのような作品を制作していくのか、注目されます。

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