コードの再利用

コードの再利用とは



コードの再利用とは、過去に作成したソフトウェアやその知識を、新しいソフトウェアの開発に活用する手法です。プログラミングの初期から行われてきた基本的な概念であり、プログラマはコードの一部、テンプレート、関数などを日常的に再利用しています。ソフトウェア工学の重要な研究テーマの一つであり、効率的なソフトウェア開発に不可欠です。

再利用可能な資産



ソフトウェアの再利用において重要なのは、再利用可能な資産の存在です。これには、以下のようなものが含まれます。

コード: プログラムの一部または全部を再利用します。
設計: ソフトウェアの構造や機能を記述した設計書です。
要求仕様: ソフトウェアに求められる機能や性能を記述したものです。
テストケース: ソフトウェアのテストに使用するデータや手順です。
アーキテクチャ: ソフトウェアの全体構造を定義したものです。

これらの資産を適切に再利用することで、開発者は重複作業を避け、効率的にソフトウェアを開発できます。

コードの再利用のメリット



開発時間の短縮: 既存のコードを再利用することで、ゼロからコードを書く時間を大幅に削減できます。
コスト削減: 開発時間の短縮は、開発コストの削減に直結します。
品質向上: 既存のコードは十分にテストされていることが多く、品質が安定しています。
保守性の向上: 再利用可能なコードは、修正や変更が容易になります。

コードの再利用の手法



コードの再利用には、さまざまな手法があります。

ライブラリ: 特定の機能を提供する再利用可能なコードの集合です。プログラマは、ライブラリのコードを利用することで、共通的な処理を自前で実装する必要がなくなります。
デザインパターン: 特定の問題を解決するための一般的な設計手法です。デザインパターンは抽象的な概念であり、個々の状況に合わせて修正して利用できます。
フレームワーク: アプリケーションの基本的な構造を提供する再利用可能なソフトウェアです。フレームワークは、特定の分野に特化していることが多く、その分野での開発効率を向上させます。
コピー&ペースト: 既存のコードをコピーして新しいコードに貼り付ける手法です。手軽に再利用できますが、重複コードの増加や保守性の低下を引き起こす可能性があります。

再利用を促進するソフトウェア特性



ソフトウェアを再利用しやすくするために、以下の特性が重要になります。

モジュール性: ソフトウェアを独立した小さな部品に分割する特性です。
低結合度: モジュール間の依存関係を少なくする特性です。
高凝集度: モジュール内の要素が互いに密接に関連している特性です。
情報隠蔽: モジュールの内部実装を隠蔽し、インターフェースを通じてのみアクセス可能にする特性です。
関心の分離: ソフトウェアの異なる側面を独立したモジュールに分離する特性です。

再利用の形態



再利用には、大きく分けて「日和見的再利用」と「計画的再利用」の2つの形態があります。

日和見的再利用: プロジェクト開始時に、再利用可能なコンポーネントが偶然見つかった場合に利用する手法です。内部再利用と外部再利用に分けられます。
内部再利用: チームが過去に開発したコンポーネントを再利用します。
外部再利用: サードパーティ製のコンポーネントを購入またはダウンロードして利用します。
計画的再利用: 将来の再利用を考慮して、コンポーネントを戦略的に設計する手法です。

より高度な再利用



近年では、さらに高度な再利用手法が研究・開発されています。

オブジェクト指向プログラミング: オブジェクト指向プログラミングは、再利用性を高めるための重要な手法の一つです。
ジェネリックプログラミング: 型に依存しない汎用的なコードを作成する手法です。
自動プログラミング: ユーザーが設定したパラメータに基づいて、プログラムを自動的に生成する手法です。
メタプログラミング: プログラムを生成するプログラムを作成する手法です。

ソフトウェアプロダクトライン



派生開発を整理し、コア資産を作成する開発手法です。コア資産は再利用可能なソフトウェア資産であり、ここから製品群を派生させることが可能です。派生可能であることをバリアビリティと呼び、フィーチャモデリングで表現します。

アセットベースド開発



オブジェクト指向技術をベースに、広義のソフトウェアの再利用を実現する試みです。RASコンソーシアムでプロセス体系が提唱されています。

まとめ



コードの再利用は、ソフトウェア開発の効率と品質を向上させるための重要な手法です。適切な再利用によって、開発者はより短時間で高品質なソフトウェアを開発できるようになります。さまざまな再利用手法や関連技術を理解し、実践することで、ソフトウェア開発の生産性を大きく向上させることができます。

関連用語

Don't repeat yourself
継承
手続き型プログラミング
ポリモーフィズム
仮想継承
ソフトウェアコンポーネント
車輪の再発明
NIH症候群
再利用性

外部リンク

Software Reuse NASA
RiSE - Reuse in Software Engineering
ReNews - SoftwareReuse and Domain Engineering
Koders Open Source Search Engine
merobase - a Search Engine for Software Components

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