コーナーショップ

コーナーショップ（Cornershop）は、イングランド中部、ウルヴァーハンプトンを拠点に活動するロックバンドです。1991年にインド系英国人であるティジンダー・シンを中心に結成されました。メンバーの変動はありましたが、実質的には結成当初からのメンバーであるティジンダー・シンとベン・エアーズの二人が中心となって活動を続けています。バンド名の由来は、イングランドのアジアン・コミュニティーでよく見られる、街角にある小さな商店の一般的な呼び名から取られています。

彼らの音楽性は、ギターロックを基盤としながらも、インド音楽の要素を巧みに取り入れたエスニックかつサイケデリックなサウンドを特徴としています。活動初期は、当時のブリットポップブームに乗る形で注目される側面もありましたが、ブームが過ぎ去った後もその音楽的な探求は止まりませんでした。ハウスミュージック、ファンク、ヒップホップなど、幅広いダンスミュージックのリズムを取り込み、同時にインストゥルメンタルを重視したフュージョン路線にも活動の幅を広げています。

バンドは1993年にEP『Elvis Sex Change』でデビュー。このEP発表直後、EMI本社の前でモリッシーのポスターを焼くというパフォーマンスを行い、賛否両論を巻き起こしました。当初はその過激な言動から「カレーパンク」と揶揄されることもありましたが、1994年のデビューアルバム『Hold On It Hurts』は、ワールドミュージックへの造詣が深いデヴィッド・バーンに注目され、彼が主宰するレーベル「ルアカ・バップ」を通じて紹介されるなど、そのオルタナティブな音楽性が高く評価されました。続く1995年の2ndアルバム『Woman's Gotta Have It』リリースに伴い、ベックのツアーのオープニングアクトに抜擢されるなど、着実にキャリアを重ねていきます。

コーナーショップの名を広く知らしめたのは、1997年に発表した3rdアルバム『When I Was Born for the 7th Time』です。このアルバムから生まれた代表曲「ブリムフル・オブ・アーシャ（Brimful of Asha）」はヒットを記録し、特にファットボーイ・スリムによるリミックス・バージョンが全英シングルチャートで首位を獲得しました。このリミックスは、ファットボーイ・スリム自身のベストアルバムにも収録されるなど、彼の代表的なリミックスワークとしても有名です。また、この1997年には来日公演も実現しています。

2002年の4作目『Handcream for a Generation』では、オアシスのノエル・ギャラガーがゲスト参加するなど注目を集めましたが、この頃からサイド・プロジェクト「クリントン」での活動やドキュメンタリー映像制作なども手がけるようになり、コーナーショップ本体としての活動ペースは以前よりも緩やかになりました。

その後も活動は継続し、2011年には6作目となるアルバム『Cornershop and the Double 'O' Groove Of』を発表。このリリースに合わせて、約10年ぶりとなる来日を果たし、フジロック・フェスティバルに出演するなど、現在に至るまで独自の音楽世界を展開し続けています。

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