テューリンゲン諸邦とは？意味をやさしく解説

テューリンゲン諸邦とは

テューリンゲン諸邦（テューリンゲン諸国）は、ドイツ帝国時代に存在した以下の領邦国家群を指す言葉です。

ザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ大公国（1903年以降はザクセン大公国）
ザクセン＝アルテンブルク公国
ザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国
ザクセン＝マイニンゲン公国
ロイス＝グライツ侯国
ロイス＝ゲーラ侯国
シュヴァルツブルク＝ルードルシュタット侯国
シュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン侯国

これらの国々は、現在のテューリンゲン州に相当する地域に位置していました。

複雑な領域構成

テューリンゲン諸邦は、北と西でプロイセン、東でザクセン王国と接していました。しかし、その領域は非常に複雑に入り組んでおり、プロイセンやザクセンの飛地がテューリンゲン諸邦の中に点在していました。例えば、以下のような地域がプロイセンの飛地でした。

シュロイジンゲン郡とズール市
ヘーアシャフト・シュマルカルデン郡
バルヒフェルト郡
ヴァンデルスレーベンとミュールベルクの周辺地域
ツィーゲンリュック郡
ラーニス市
カムスドルフ村
ブランケンベルク村
シュパルンブルク村
ブリンテンドルフ村
ツィーゲンリュック郡の飛地ゲーフェル村
カムブルク近郊のアプレープニッツ村
アイゼンベルク近郊のキシュリッツ村

また、ザクセン王国の飛地も多数存在しました。以下はその例です。

ゲーラ近郊のリープシュヴィッツ郡（レンゲフェルト、リープシュヴィッツ、リーチュ、ニーブラ、ペスネックおよびタウベンプレシュケルン）
ヒルベルスドルフ
ロイチュ
リュッケルスドルフ
トーンハウゼンとグラープスドルフの周辺の村落
アルテンブルク近郊のボッカ
メラーネ近郊のカウリッツ

1913年には、ザクセン大公国とザクセン＝マイニンゲン公国の間で領土交換が行われましたが、飛地の状況はあまり改善されませんでした。

ドイツ帝国におけるテューリンゲン諸邦

ドイツ帝国において、テューリンゲン諸邦は連邦参議院でそれぞれ議決権を持っていました。領域の割には大きな発言権を持っていましたが、各邦が一致して行動することは稀でした。また、当初は全ての邦が代表を出していたわけではなく、代表権を他の国に委任している邦もありました。

全テューリンゲン諸邦はイェーナの上級ラント裁判所の管轄下に置かれていましたが、シュヴァルツブルク＝ゾンダースハウゼン侯国のみはナウムブルク上級ラント裁判所の管轄でした。イェーナ大学はテューリンゲン諸邦で共有されており、エルネスティン系公国が出資していましたが、ザクセン＝コーブルク公国は途中から出資を取りやめました。

テューリンゲン州の成立

1918年のドイツ革命により君主制が廃止され、テューリンゲン諸邦は自由州となりました。その後、各自由州は合同してテューリンゲン州を成立させるべく交渉を開始しました。

兄系ロイス自由州と弟系ロイス自由州は合併してロイス人民州となりました。ザクセン＝ゴータとザクセン＝コーブルクは連合を解消し、別々の自由州となりました。

プロイセンが領土変更を認めなかったため、いわゆる「小テューリンゲン主義」による解決が図られました。ザクセン＝マイニンゲン自由州とコーブルク自由州は参加に懸念を示しましたが、最終的にコーブルク自由州を除く7州が1920年5月1日に合併し、テューリンゲン州が成立しました。州都はヴァイマルに置かれました。

コーブルク自由州は、国民投票の結果を受けてバイエルン自由州に編入されました。

テューリンゲン福音ルター派教会の教区は、旧プロイセン州の飛地を除き、ほぼ1920年に成立したテューリンゲン州の領域に対応しています。

テューリンゲン諸邦