コーラス (ポピュラー音楽)

コーラスの意義とその変遷

コーラスとは、音楽における合唱を指す用語であり、特にポピュラー音楽の分野においては、主にメイン・ボーカルのサポートを行うバックグラウンド・ヴォーカルを意味します。コーラスを担当する歌手は、その音楽作品の厚みを増す重要な役割を担っています。こうしたコーラスは、バックグラウンド・ボーカルとも呼ばれ、主にハミングや歌の伴奏を通じて、作品に色を添える存在です。

コーラスの形態と文化

特にア・カペラの音楽形態では、コーラス自体がメインのテーマとなることもあり、こうした場合にはメイン・ヴォーカルとの区別が曖昧となります。英語圏では「バッキング・ボーカル」という用語が使われ、コーラスは時に楽曲のサビやリフレインに相当する概念としても解釈されます。コーラスは、主にグループやクワイアの形で表現され、聖歌隊のような伝統的な形態が現在の音楽にも影響を与えています。

日本におけるコーラスの歴史

日本のポピュラー音楽シーンでは、1970年代初頭に赤い鳥やチューリップ、オフコースといったグループがコーラスの重要性を示しました。特に、ハイ・ファイ・セットや紙ふうせんのようなデュオでの活動が新しい風を吹き込み、コーラスの役割が徐々に広がりを見せました。とはいえ、ソロ歌手の多くはスタジオ・ミュージシャンやバックバンドによるコーラスをあまり使用しておらず、その中で荒井由実や山下達郎など一部のアーティストが目立つ存在でした。

1970年代後半には、山下達郎が1980年に発表した『ON THE STREET CORNER』が、新たなコーラスの形を提案しました。このア・カペラアルバムは、彼が過去に録音した作品をまとめたもので、その後の音楽シーンに強い影響を与えました。特にこのアルバムは、音楽業界の変化を促し、以降の多重コーラスが当たり前のものとされる流れを作り出しました。

1980年代以降の展開

1980年代に突入すると、多くのアーティストが自らの作品に多重コーラスを取り入れ始めました。その中には杉真理や安部恭弘、EPOなど、その楽曲の完成度を高める要素として重要な役割を果たしました。これにより、音楽制作におけるコーラスの技術とアプローチが一変しました。特に90年代には、ビーイングの女性アーティストたちが多重コーラスを活用し、楽器の一部のように扱うサウンドメイキングを進めることで、J-POPに新しい風を送り込みました。

さらに、大黒摩季や宇徳敬子といったシンガーソングライターは、自らコーラスアレンジを行い、自己の声を用いた多重録音の手法を確立させました。これにより、アイドルとアーティストの差別化が進展し、コーラスが重要視されるようになりました。近年では、バンド形式のアーティストも多く、自身の演奏と同時にコーラスを担当するケースが一般化しています。

結論

コーラスは音楽をより豊かにし、多様な表現を可能にする要素であり、ポピュラー音楽の発展と共にその形態は進化し続けています。今後もコーラスの役割と技術は進化し、ますます注目されることでしょう。

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